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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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DEX の怒り

「……貴様、ハ……」


 その小さな声が聞き取れず、クローンがDEX に近づく。


「私ノ敵ダ!」


 今までの機械的な口調から一転、感情が爆発した様な叫びだった。

 DEX はクローンに体当たりする。


「キャッ」


 不用意に近づき過ぎたか。

 クローンは後ろの壁まで飛ばされた。

 DEX は物凄い速さで移動し、起き上がろうとしたクローンを上から押し潰す。

 博士達の助けが入るのも間に合わないほどに。


「ウウッ」


 約三メートルの巨体に押し潰され、クローンの体はギシギシと嫌な音を立て始めた。


「いかん!」


 フィールズ博士が焦り、メドゥーがDEX にエネルギー砲を合わせる。

 DEX の首が回り、顔だけがこっちを向いた。


「!!」


 エネルギー砲を発射するより早く、DEX の目から光線が打ち出された。


 ビビビ~ッ。


 光線は天井を撃ち抜き、大きな破片が圭一達の上に降り注ぐ。


「うわわわわっ!」


 間一髪、そこから逃げる。

 その間もずっと、クローンはDEX のボディの下敷きになっていた。


 ピシッ。


 あまりの重さに身体が悲鳴を上げる。

 壊れ始めた箇所から油が漏れ出していた。


「いかん! クローンが……!」


 悲痛な思いのフィールズ博士。

 クローンはもはや、声を発する事も出来なくなっていた。


「フハハハハ……。コノママ、一思イ二眠ラセテアゲルヨ!」


 DEX がさらに力を込める。


 メキメキメキッ。


 胴体が潰れた音がした。

 細かな破片が辺りに散らばる。

 クローンはかすかに笑って、顔を圭一の方に上げた。


「ケ、圭一、サン……」

「クローン、今助ける!」


 見ていられない。

 圭一は何とかDEX の下から、クローンを引っ張り出そうとする。


「ムッ。オ前」


 DEX の目が滑り込んだ圭一を捕らえた時、マヤ達も動いていた。

 光線を撃たれてたまるか。

 みんなで走って来て、一斉にDEX の身体を押した。


「オ前達、何ヲスル!」


 などとDEX が言うが、構ってなんかいられない。

 早くしないと、クローンが壊されてしまう。

 光線を撃たれるとか他の反撃が来るとかいう発想は、今は思いつかなかった。


「いっせ~の、で-いっ!」


 みんなの力が一つとなり、クローンは斜めになったDEX の下からようやく解放される。


「ムッ」


 怒りの表情のDEX が再びクローンを踏みつけようとするが、


「みんな! ここは一旦退いて、クローンの修理を優先しよう」


 というメドゥーの一言で、圭一達はクローンを抱えて部屋の外へと走り出した。


「逃ガサナイ」


 猛スピードで追いかけてくるDEX 。

 逃げる圭一達。

 やっとの思いで別の部屋の中に逃げ込み、扉を閉めて鍵をロックした。


「しばらく、これでつと思うんだけれど、DEX は油断ならない相手だべ。バリー、なるべく早く修理を終わらせて欲しいべ」

「うん。分かったよジン。メド、道具は?」

「ああ、今来ると思う」


 クローンは仰向けに寝かされ、大きく損傷した背中から胴体の部分を、博士とバリーが調べている。

 メドゥーは壁の方を見ていた。

 この部屋偶然窓がある。

 その窓からクローン修理用の道具が届くのを待っているのだ。

 DEX から逃げている時、メドゥーが外で待機している第二部隊のマグにリングで連絡を取っていた。

 急いでクローンを修理する為の道具を送って欲しいと。

 車の中に一応用意してあった。

 それをマグが届けてくれるはず。


 コンコン。


 窓を叩く音。

 メドゥーが窓を開ける。


「兄さん、来たよ」


 マグが部屋の様子を見ながら腕を伸ばす。


「マグ。悪いな」

「いいよ。待ってる間暇だったから。マヤちゃん無事に助けられたんだね。自分達の出番はまだ?」

「もう少しだ。例の準備は?」

「オッケーだよ」

「……そうか。DEX に見つかる。お前は行け。ありがとな」

「うん。じゃ」


 小声で会話をした後、兄弟は別れる。

 マグから受け取ったカプセルを、メドゥーが床に投げた。


 ポン。


 道具が出てくる。

 フィールズ博士とバリーがそれを拾い、早速修理に取りかかる。

 しかし、あちこち配線が切断され、油も漏れ出していた為、直すには時間がかかりそうだった。

 いつもは明るいメドゥーやしっかり者のジンでさえ、この時ばかりは不安の色を隠せない。

 部屋の外ではDEX が扉の前に立っていた。

 怒りはまだ収まらないが、さっきよりは落ち着いた表情で。

 中に居る圭一達はその気配を感じつつも、今はクローンの修理に没頭していた。

 それでも、いつDEX が襲って来てもいいように、扉の両側にはジンと中島がビームガンを構えて立っているし、正面には運動神経が抜群で格闘が得意なメドゥーが見張っている。

 マヤはまだ怪我が治っていないので、圭一に守られながら、博士やバリーの側で大人しくしていた。


 カチャカチャカチャ。

 ビイイイイイン。


 緊張感が漂う中、修理をする音だけが響く。

 DEX は何をしているのか。

 願わくば、このまま無事にクローンが復帰するのを確かめたい。

 だが、そうもいかなかった様だ。


 ドンドンドン。


 外から扉にぶつかる物凄い音。

 瞬く間に鉄の扉がしなる。

 そして、


 ビイイイイ……ッ。

 ガガガガガガガッ。


 扉が光線で焼かれ、壊された。

 DEX が目からビームを発射しているのだ。

 バラバラになった扉の向こうから、〈奴〉が姿を現した。












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