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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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作戦会議

 その小さな光は何処からともなく現れて、水晶の中の少女の身体の中にスッと消えた。

 力が戻って来たのが分かる。

 魂は肉体と一体化し、現実ときの始まりを告げた。

 私は今、ここに居るよ、と。


 DEXは何かの力を感じ、水晶から触手を離した。

 嫌な予感。

 自分の力を跳ね返してまで、彼女は何をしようというのか。

 わざわざいい夢を見させてあげて、仲間に誘おうとしたのに。


「魂、帰ッテ、来タ」


 ピーッ、ピー、ピー、ピー。


 胸のランプが赤く点滅している。

 怒りという感情が、自分でも分かった。


「彼女ノ、仲間、次、殺ス」


 無表情に冷たく機械的に言い放つと、DEXはその場を去った。

 後に残ったのは、マヤの肉体が眠る水晶だけ。

 痛々しい傷跡。

 瞳も閉じられたまま。

 時は、過ぎた。


 夜、レジスタンスのアジト、圭一達の部屋。

 メドゥーの弟マグの襲撃事件から三時間ほど経ち、圭一と中島はベッドでうとうとしていた。

 夕食を頂いた後、話し合ううちに眠ってしまったらしい。

 モニター画面にフィールズ博士の顔が映る。


「あ~、圭一君、中島君。休んでいる所済まないね。作戦会議を始めたいんだが」


 圭一と中島は目をこすって起きる。


「はい。広間ですよね。今向かいます」

「無理しなくていいからね。ゆっくり来なさい。本来なら眠くなる時間だろう?」


 時刻は夜10時。

 ここ惑星イリアでの時間の流れは地球とほぼ変わらない。

 今日は色々あったので、少し夕食が遅くなったのだ。

 初めてのイリアでの食事。

 スープかな? と思う物を飲んだ。

 まろやかなミルクの甘味の中に、カリッとした食感。

 ククというイリアの野菜らしい。

 地面から伸びた茎から細長いきゅうりみたいな黄土色の野菜が出来る。

 それは殻になっていて、真ん中の裂け目からパカッて開けると実が出てくる。

 野菜というより豆みたいなものだ。

 カリコリしていて栄養価も高い。

 パンもあり、食べやすかった。

 圭一と中島はベッドから降り部屋を出る。

 退屈は感じていなかった。

 部屋にあるモニター。

 クローンから使い方を教えてもらっていた。

 そっと指で触れるだけ。

 タッチパネルで文字が出る。

 テレビも見れるしゲームも出来るし、顔を見ながら博士達と話も出来る。

 何がしたいか文字で選ぶだけ。

 イリアの文字、圭一達は読めるかなと心配だったけど、博士達があらかじめこの部屋だけ、地球の文字をインプットしてくれていたらしい。

 というかマヤが三年前地球から帰って来た後、みんなで地球の事を勉強したそうだ。

 マヤを講師として。

 だから今、レジスタンスの間で、ちょっとした地球ブームが起きている。

 それを聞いた時、圭一達は少し嬉しくなった。

 大広間への行き方は覚えている。

 夕食の時、クローンが迎えに来て、動く通路を通ったから。

 マグの姿は無かった。

 どうしたのか聞いてみようと思ったけど、この雰囲気じゃちょっと聞きづらかった。

 大広間の扉をノックする。

 中からジンが開けてくれた。

 博士が笑顔で迎える。


「やあ圭一君、中島君。こんな時間に来てもらって悪いね」

「いいえ。僕達も、マヤを助けたいですから」

「そうか、圭一君は……」


 そこまで言いかけたが博士は言葉を濁し、席に誘う。

 圭一達は座った。

 やはりマグは居ない。

 話そうかどうしようか迷う圭一達を見て、クローンが声をかけた。


「オ二人トモ、ドウカシタノデスカ?」

「あ、クローン。その、マグさんは……」

「マグサンデスカ?」


 クローンが伺いを立てる様にメドゥーを見る。

 メドゥーはああ、という風に気にせず話した。


「マグなら牢に入ってるよ。そこで一晩反省させるつもりだ」

「ろ、牢ですか?」

「ああ。君達にあんな事をしたんだ。当然、責任を負わせる」

「で、でも……」

「心配いらない。明日の朝には出すよ。まあ、マヤへの思いは俺も知ってた。だから……」

「だからといって、メドまで責任を負う必要は無いべ」


 思い詰めた感じのメドゥーを庇う様に、ジンが言う。


「圭一君。許してやって欲しいべ。君達を襲った事は、マグに反省してもらう。けど、マグのマヤへの気持ちだけは……」

「僕は怒ってませんよ。ただ、びっくりしただけで」

「そ、そう。ありがとだべ」


 圭一の言葉に、メドゥーはほっとした表情を浮かべた。

 クローンがよろしいですかとモニターの方を指す。

 そう。

 何しろ向こうには人質が居る。

 下手に動いたらマヤの命まで危険に晒し兼ねない。

 それに相手は人間ではない。

 正真正銘のメカ、機械である事に間違いはないのだから。

 大きい身体ボディになかなかの行動力。

 観察力、攻撃力、破壊力、回復力。

 どれをとっても文句のつけようが無い、見事な出来映えであった。

 何故こんな物を人類は生み出してしまったのだろう。

 過ちである事に気付かなかったのか。

 それとも大丈夫だと思って放っておいたのか。

 いずれにせよ、人類は大きな問題を生み出してしまったという事になる。

 今ここに集まった者達も、そんな問題を自ら解決しようと進んで会議に参加した強者達だ。

 メンバーは全部で七人。

 リーダーはメドゥー・ライバー。

 補佐役にバリーとジン・ポプキンス。クローン。

 まとめ役にフィールズ・コール博士。

 そして助っ人に地球から来た〈選ばれし者〉、横野圭一と中島高志。

 他のレジスタンスの人々はこの会議には参加していないが、後ろでバックアップしてくれるそうだ。

 圭一達は先発隊になる。


 ゴクッ。


 唾を飲み込む。

 惑星イリアの運命が掛かっているとあって、彼らの目は真剣そのものだ。

 必ずマヤを救い出す。

 その思いは圭一やみんなの中で、強く燃え盛っていた。






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