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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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狙われし二人

 ジー、がシャン。


 博士達がクローンを横にして色々調べているのを、圭一と中島は神妙な面持ちで見つめていた。

 他のレジスタンスの人達も心配そうに黙っている。

 あの時、何があったのか。

 苦しそうなマヤの表情とともに、彼女との交信が途切れた。

 クローンの体が光っていたのが元に戻り、動かなくなった。

 圭一達には異変もない。

 フィールズ博士が振り向く。


「これは、奴の仕業かもしれんな」

「奴? 奴ってDEXですか?」

「うむ」


 圭一の問いに博士が反応を示した瞬間、ジンが言う。


「博士、クローンが起きたようだべ」


 師匠であるはずのフィールズ博士にもその喋り方? と思う人もいるだろうが、博士はたいして気にもしていない様子だった。

 まあ、ジンは元からこの癖のある喋り方だし、博士も笑っているので、良好な関係といった所だろう。

 バリーに支えられ、クローンが身体を起こす。


「博士……」

「おお、クローン。大丈夫か?」

「ハイ。ゴ迷惑ヲオ掛ケシマシタ。アノ時、私トマヤサンヲ繋グエネルギー回路ガ、DEXニヨッテ遮断サレテシマッタ様デス」

「やはりそうか」

「ハイ。〈奴〉ハ圭一サン達ト会話シテイルマヤサンヲ見タノカモシレマセン。〈奴〉ハ選バレシ者達ヲ狙ッテイマス。圭一サン達ガコノ惑星ニ来タ事、気付カレタカモシレマセン」

「それはまずいな」

「ハイ。マヤサンモ心配デスガ、圭一サン達ノ安全ヲ確保シナイト。圭一サンノオ母様ト、約束シマシタカラ」

「クローン……」

「圭一サン、中島サン、落チ着イテ動キマショウ」

「う、うん」


 クローンにそう言われたら、そうするしかない。

 マヤの事は凄く心配だけど、クローンが母親と交わした約束を守ってくれようとしているのも嬉しい。

 それに来たばかりの土地で下手に動くと、余計に頭が混乱しそう。

 ここは博士達に従おう。

 博士達の方がこの惑星の事、自分達より良く知っている。

 何せこの惑星の住人なんだから。


「それでは、圭一君、中島君」


 ほら来た、早速。

 さて、何をすればいいんだろう。


「君達にはわたし達と一緒に、戦闘の準備をしてもらいたい。と、言いたい所だが……」


 ん? 何?


「今日は来たばかりで疲れただろう。もう暗くなるし、準備は明日に回そう」


 そういう事か。

 ん? 暗くなるって、夜になるって事?

 そんなに時間経っていたんだ。

 そもそも、地球から惑星イリアまでって、どれくらいの時間で来れるんだろう。


「圭一、サン?」

「あ、ごめんクローン。ちょっと下らない事考えてて」

「下ラナイ事デスカ? ドンナ事デモ答エラレル事デシタラ答エマス」

「そ、そう? ありがとう」


 博士の言葉を聞いた後、少し戸惑った様な顔を見せた圭一の事を、クローンが不思議に思って声をかけたのだった。

 でも下らない質問にもきちんと答えてくれる。

 誠実なロボットだ。


「地球カラコノ惑星イリアマデデスカ? アナタ方ガ眠ッテイタ時間デ来レマスヨ」

「え? それってつまり……」

「フフッ。日付ハ跨イデイナイノデ、安心シテ下サイネ」


 こういう冗談めいた事も言えるんだ。

 日付を跨いでいないという事は、母さんと別れて、物凄いスピードで連れて来られたという事かなあ。

 正にマヤが乗って来た、稲妻みたいなロケットで。

 まあ、ロケットかクローンの力かは、眠っていたので本当かどうか分からないけど。


「それでは、お部屋に案内しますね」


 博士達とは違う声。

 この人は、敵の兵器の車に襲われた時、基地から車を運転して助けに来てくれた男の人だ。


「お二人ともお疲れでしょうから、部屋に案内するようにと、ただいま博士から言われました」

「そ、そうですか。では、お願いします」

「はい。ではついて来て下さいね」


 男性の後について歩く。

 部屋の脇の扉を開けると、長い通路に出る。

 どうやら、右のドームに繋がっているみたい。

 広い窓の下の青いボタンを押す。

 通路脇から手すりが飛び出し、ベルトコンベアのように通路が動き出した。

 へえ、動く通路になっているんだ。

 しかも二列に分かれて、向こうに向かうのとこちらに向かって来るのとで、動く方向がちゃんと逆になっている。


「手すりに掴まって下さいね。ちなみにボタンは向こうの入り口付近にも設置されているんですよ。向こうからこちら側に渡りたい人が押すんです。ボタンはオン、オフ両方出来るので、もう一度押すとこの動く通路と手すりはしまわれます」

「へえ、そうなんですね~」

「ええ。歩く方がいいって人は、使わないんですが」

「はは」

「あ、着きましたよ。どうぞ」


 右のドーム、脇の扉。

 開けると目の前にエレベーターがある。

 男性によると、このドームは三階建てらしい。

 へえ、各階に四部屋づつあるんだ。

 各部屋の扉にはネームプレートが貼られていたり、花が飾られていたりと、間違えないようにする工夫が色々とされていた。

 部屋は一人ずつの場合もあるし、家族、友人とかと一緒に割り当てられている場合がある。

 ついでに言うと先ほどの一番大きい真ん中のドームは、地下を含めて五階建て。

 レジスタンスのみんなと会った一階広間の中央にエレベーターがあった。

 各階と繋がっているのだろう。

 地下は研究室ラボ

 二階は医務室とキッチン。

 食事は広間に作った物を持って来てもいいし、自分達の部屋で食べてもいい。

 三階はライブラリー。

 紙の本もあるし、モニターを操作して見る電子書籍もある。

 そして四階は男女分かれた大浴場。

 と、男女の浴場に挟まれる様に真ん中にトレーニングルームがある。

 トレーニングで汗をかいた後にさっぱりとお風呂に入れるなんて、考えられている。

 トイレは男女お風呂の脇に一つずつ、二階医務室脇に一ヶ所設置されている。

 ちなみに左側のドームも、右と同じように仲間達の各部屋となっている。


「こちらが、圭一さんと中島さんのお部屋になります。シャワールームとトイレは、各部屋に設置してあります。ゆっくりと、おくつろぎ下さい」

「ありがとうございます。それでは、使わせて頂きますね」

「はい。ご遠慮なく」


 エレベーター側、一階左の部屋が空いていた。

 ベッドが二つ。

 壁に飾られているのは、テレビじゃなくモニターか。

 中島は窓側のベッドを選んだ。

 寝転んでみる。

 フカフカして気持ちいい。


「あ~、こんな広いベッド、初めてかも」

「喜んで頂けて何よりです。お二人は、大切な方々ですから、でも」


 カチヤ。


 何故か男性は部屋の中に残って鍵を閉める。


「自分にとっては、違いますけどね」


 右手に握ったナイフの先端を、ペロッと舐めた。














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