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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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レジスタンスの基地

 〈敵〉の兵器に会う事もなく、圭一達を乗せた車は順調に進んで行く。

 今は天井も窓も閉まっているが、望めばパカッと上の部分が開き、オープンカー状態になるらしい。

 空を飛んでいる時にオープンカー状態になるのは怖さもあってどうかと思っていたが、クローンが風を直に感じて気持ちいいですよと言うので、せっかくだし頼んでみるかと、圭一が男性にお願いした。


「了解しました」


 男性はにこやかに返事をする。

 運転席と助手席の間のレバーを引いた。

 いや、これ、ハンドブレーキって訳じゃないらしい。

 惑星イリアの車はAIのアシスト機能が凄いので、ハンドブレーキは必要無いみたいだ。

 完全自動運転もその中の一つだ。

 車に搭載されている人口知能が喋り出す。


「ハッチを開きます。ベルトを締め、安全を確認して下さい」


 カタッ。

 ギーッ。


 屋根が左右に開き、窓ごと翼に当たらぬ様折り畳まれ、収容される。

 その様子を圭一と中島は感動しながら見ていた。


すげえ、これが……」

「イリアの科学……か」


 クローンと男性が嬉しそうにニッコリする。

 屋根が収納されて風が吹き付けているのに、車は安定して飛んで行く。

 怖くはない。

 気持ちいい。

 クローンの言った通りだ。

 水平を保っているのも、AIの力か。

 と思ったが。


「コノ方ハ、レジスタンスデ一番ノ操縦技術ヲ持ッテイルノデスヨ」


 とクローンが補足したから、AIの力だけじゃないらしい。


「一番じゃないですよ。自分より上の人はまだいます」

「アラ、私ノ中デハ一番デスヨ」

「そ、そうですか。ありがとうございます」


 謙遜しながらも、照れているのが分かった。

 圭一はここで浮かんだ疑問の答えを聞いてみる。

 どうして自分と中島が離れ離れになっていたのか。

 目覚めた場所が違うのは何故か。

 地球からこの星に向かっている時は確かに一緒に居たのに。


「ソレハ……」


 クローンと男性の答えはこうだ。

 イリアに到達した時、既に圭一と中島の二人は気絶していた状態だった。

 ロケットが降り立った場所は圭一が目覚めた崖から少し東に離れた広場。

 そこにはロケットの到着予想時刻と場所を予測した仲間達がスタンバイしていた。

 そして一旦中島だけ基地へ。

 圭一がクローンと一緒に残された理由は、マヤが圭一の協力のおかげで見つけた愛で甦った自然を、圭一自身に確かめて欲しかったからだった。

 そして中島がひと足先にレジスタンスのアジトでお話を聞いていた時に、基地のAIが圭一とクローンの危機を伝え、急いで助けに来たという訳だ。


「びっくりしたぜ。基地で目が覚めた時も驚いたけど、話を聞いてる最中にいきなりブザーが鳴ってさ、モニターにお前らの姿が映し出されて。一応、クローンがついているから大丈夫だろうって話だったんだけど、やっぱ心配じゃん。お前らの事」

「悪かったね中島。心配かけて」

「謝る必要ね~よ。親友じゃん。俺達」

「……そうだね。ありがとうございました。助けに来ていただいて」


 改めて圭一は礼を言う。


「いえ」


 男性は軽く首を振った。


「あなたは、この惑星を救って下さった、救世主ですから」

「……ぼ、僕はそんな、大した事はしていません」

「いえ。この惑星のレジスタンスの仲間は、みんなそう思ってますよ」

「は、はあ」


 ちょっと、恥ずかしいよ。

 中島はニタニタ笑ってるし。


「ア、圭一サン。私達ノアジトガ見エテ来マシタヨ」


 そうクローンに言われて、圭一は下を向く。

 これがレジスタンスのアジト。

 立派で丈夫そうなな基地。

 森の中に建つ、大きな三つのドームが長細い箱形の建物と繋がっている設計。

 一番奥のドームが一番大きい。

 手前の二つは同じ大きさで両端にあり、ちょうど「く」の字が横になったように配置されている。

 車が正面に降りると、背の高い白い顎ひげが似合うダンディーな男の人が出て来た。

 クローンが紹介してくれる。


「圭一サン。コチラフィールズ博士デス。私ノ身体ヲ造ッテ下サッタ方デス。博士、コノ方ガ選バレシ者、圭一サンデス」

「こ、こんにちは。はじめまして。横野圭一です」


 圭一は緊張しながら手を出した。

 フィールズ博士がフッと笑って握手をしてくれる。


「こちらこそはじめまして。わたしはフィールズ・コール。このアジトで科学者として暮らしているよ。圭一君、ようこそ、惑星イリアへ。君達の到来を、歓迎するよ」

「は、はい。ありがとうございます」

「うむ。では、我々の基地の中へ。仲間達を紹介しよう」

「はい。お願いします!」


 プシュ~。


 近づくだけで扉が開いた。

 フィールズ博士の顔パスか。

 一番奥の大きいドーム。

 中では皆が、勢揃いしていた。







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