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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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夢が教えてくれた事

 その夜、不思議な夢を見た。

 緑の草原が広がっている。

 雲一つ無い青空。

 鳥のさえずりが聞こえる。


 ザッ、ザッ、ザッ。


 誰かが近づいて来る足音。

 振り向くと見知らぬ男性が立っていた。

 彼が手招きする。

「こっちへおいで」と。

 誘われるままついて行く。

 遠くまで続く一本道が見えた。

 静かに歩く。

 やがてたどり着いた場所は砂漠。

 彼方まで広がる白い砂。

 男性は消えていた。

 辺りをさ迷う。

 神殿の様な建物があった。

 中に入ってみる。

 右へ、左へと続く回廊を走り抜ける。

 広い大きな一室に出た。

 中央にある、大きな水晶の様なもの。

 触れてみる。

 硬い。

 何故こんな大きな水晶が、この部屋にあるんだろうと圭一は思った。

 すると水晶の真ん中が透けて行く。

 中に何かある。

 閉じ込められていた物を確認して、圭一は息を飲んだ。


「!!」


 夢は覚める。

 圭一は慌てて飛び起きていた。

 額から、手から、全身がびっしり汗ばんでいる。

 興奮と驚きで呼吸が荒い。


(あれは……)


 彼は嫌な予感に胸を押さえた。


(一体、何が起きているんだ)


 心を落ち着かせる為、ベッドの側の窓を開ける。

 そうっと優しい風が吹いて、髪を揺らす。

 まだ夜は明けていない。

 流れ星が一つ南に向けて落ちて行く。


(マヤ……)


 どうしようもない不安。

 その頃、遠く離れた惑星イリアでも、一人の少女が助けを求めていた。


(圭一、助けて)


 二人の瞳が、哀しく揺れる。

 運命を導く様に、静かに夜は更けて行った。


 チチチチチチ。


 夢の中ではない、現実の鳥の鳴き声。

 朝が来た。

 晴れたいい天気だ。

 今日も変わらぬ一日が始まる。

 いや。

 今日は少し違った日になるかもしれない。

 特別な予感。

 圭一の鋭い勘が目を覚ます。

 昨夜の夢。

 あの不思議な幻影が忘れられない。

 まるで実際に起こった事の様に、はっきりと脳裏に焼き付いて離れない。

 母親にも、


「もしかして、あまり寝れなかったんじゃない?」


 なんて聞かれたけど、暑かったって誤魔化して来た。

 何だろう。胸が痛む様な感じがするから。

 学校に行っても、その事を考えていた。

 部活終わりの帰り道、中島に指摘される。


「おい、圭一。お前今日おかしいぞ」

「え? そう? そうかな」

「そうかな? じゃねえ。授業もいつもより身に入ってなかったようだし。なあ、何かあったのか?」

「う、ううん」

「誤魔化すな。俺には分かる。親友だろ?」

「中島……」

「話してみろよ。俺には」


 ふう。

 やっぱり中島には敵わない。

 不安な夢だったので自分の中に留めておこうと思ったけど無駄か。


「中島、実は昨夜ゆうべ……」


 圭一は昨日見た夢の事を全て話した。

 中島は黙っている。

 時が、一瞬止まった。


「……圭一」


 沈黙の後、親友の口が開く。


「それってさ、もしかしてマヤちゃんに何かあったって事じゃねえのか? いや、考えたくもないけど。俺だってマヤちゃん心配だし。けどよ、中学の頃から、お前と付き合って来て、お前の勘の鋭さは分かっているつもりだ。そんなお前が見た夢なんだから、多分間違いねーと思う」

「中島……」

「まあ、予知夢とまではいかないとしても、焦らないで落ち着こうぜ。連絡を待とう。そうしねーと、何も考えられねえ」

「う、うん」


 焦ってるって、中島の方がそう見えるんだけど。

 でも、中島に話して、圭一の心も少しスッキリした。


「ありがとう、中島」

「ま、まあな」


 照れ隠しに笑っているが、本当、中島高志という男はこういう性格だ。

 困っている人は放っておけない、仲間思いの正義感溢れる少年。

 いつもクラスの人気者で、明るく楽しませてくれる笑顔に、圭一も惹かれていた。

 時々熱く暴走する事もあるけど、それも含めて圭一は中島と友達で良かったと思っていた。

 マヤの事で、中島ほど心強い味方はいない。

 家族を別にすれば。

 圭一はスマホを手にする。

 ラインが入っていた。

 母親からだ。


 〈今日、あなたの部屋を掃除したらね、あなたの机の引き出しが少し開いてて、光っている様に見えたの。調べたら、マヤちゃんの写真の上に、ペンダントが置いてあった。それが光ってたのね〉


 そうだ。

 別れ際にマヤからもらったペンダント。

 写真と一緒に引き出しに入れてたんだ。


 〈確かこのペンダント。マヤちゃんが何か知らせたい時に反応するって、あなた話してなかった? マヤちゃんから聞いたって……〉


 すぐ帰るよ、と圭一はラインに返した。

 中島にもその旨を伝えて、家に急ぐ。

 玄関で、母親がペンダントを手に待っていた。






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