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青い稲妻  作者: 北村美琴
第1部地球編
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星へ帰る前に

 その日、マヤは中島の家で行われる夕食会の時間まで、圭一の家族と公園で過ごす事になった。

 マヤのドーム型の家。

 彼女が地球に向かう数日前に、博士達が作ってくれた物だった。

 簡易型とはいえ、中は思ったより広い。

 四人は入れる。

 お風呂場やキッチンまでついているのだからさすがだ。

 水はどうなっているのだろう。

 イリアからもだいたい必要な分、容器に水を入れて持って来ているが、それでも足りない分は地球で買ったり、雨水を利用したりする事にしていた。

 雨水を濾過する装置も用意してあるから。

 圭一の両親は初めてのドーム型の家に興味津々だった。

 圭一から話は聞いていただろうけど、こうして中に入るのは今まで無かったらしいから。


(そうだったっけ?)


 マヤは首をかしげる。

 招待したのかしてないのか、彼女自身も曖昧になっていた。

 そして飲み物を飲みながら話をしているうちに、図書館でちょうどいい資料は見つかったのかと聞かれた。

 マヤは探していた答えが見つかったと答える。


「良かったわね」


 彼のご両親は自分の事の様に喜んでくれた。


「ありがとうございます」


 中島君の家であんな事件があり、自分はもう二度と圭一一家や中島君に会えなくなると落ち込んでいたのに、まさかその中島君の家族にご招待を受けるなんて思ってもみなかった。

 嫌がられても仕方ない。

 中島君の家で暴れた上に、マヤ達のせいではないとしても、結果的に人が一人亡くなってしまった。

 ミナが倒れた時、怪我した胸を背中側から布で押さえていたから、血は床に付着していないと思うけど。

 それと……、


(あ)


 ロボットを消滅させる時に借りた菜箸、洗って返すつもりが、慌てて飛び出して来たので床に落としたままだったかも。


(あとで謝らなきゃ)


 私も、まだまだ。

 両親が遺した、〈出来るだけ慌てず、落ち着いて、考えて行動する〉って言葉、なかなか難しいな。

 感情が上回ると、上手く行かない。

 でも、その言葉があったからこそ、これまで生きてこられたのかもしれない。

 時間になる。

 みんなで向かった。

 逃げる様に泣いて走って来た道を、今度は圭一達と一緒に歩いているなんて、不思議な気分だ。

 玄関に到着する。

 体が硬直した。

 本当に、入っていいのか。

 大丈夫、とは言えない。

 あの時の、中島のお父さんの冷たい顔が思い浮かぶ。

 本人からして見れば演技であり、決してそんなつもりでは無かったとしても。

 その時のマヤには、そんな風に感じた。


「いらっしゃい、マヤちゃん」


 ピンポンの音に反応して中島が出て来た。

 恐る恐る足を踏み入れる。

 圭一がそっと手を握ってくれた。


「怖がらないでマヤ。実は僕も不安だけど」

「圭一……」

「でも君と一緒なら大丈夫。行こう」

「……うん」


 案内されるままリビングへ。

 テーブルに様々な料理が並んでいる。

 美味しそう。

 中島の母親と父親が笑って促す。


「さ、マヤちゃん、圭一君、いっぱい食べて行ってね。久々に、腕を振るったのよ」

「は、はい」

「あら、緊張してるの? これは高志を助けてくれたお礼。遠慮する事ないのよ」

「お、おばさま……」


 マヤは椅子に座る前に、ペコッと頭を下げる。


「ご、ごめんなさい!」

「え?」

「高志君を巻き込んで、怖い目に合わせてしまってごめんなさい! 私が皆さんと違う星の人間だと明かさなかったから……。それに、それに……!」

「マヤちゃん、ストップ。もういいわ」


 中島の母親がマヤを抱く。


「……!」

「わたし達、怒っていないわ。確かに驚いたけれど、あなたにも事情があっての事でしょ? それは聞いたから分かってる。あの女性が横たわっていた場所、アルコール消毒して、塩を撒いて、盛り塩をして自分達なりにお祓いをしたわ。だから心配しないでね」

「おばさま……」

「それから、床に転がっていた菜箸もね、ちゃんと洗ってしまったから大丈夫。……って、それは高志にやらせたんだけどね」

「ありがとうございます。済みません」

「謝らないで。さあ、ご飯が冷めてしまうわ。頂きましょう」

「はい!」


 マヤはスッキリした気持ちで、ようやく椅子に座った。

 手を合わせる。


「いただきます!」

「はい、いただきます」


 美味しい。

 サラダに鳥の唐揚げに酢の物にキャベツの味噌炒め。

 ごはんに豆腐とネギのお味噌汁にビール。

 枝豆とお刺身。

 漬け物も。

 子供達には好きなジュース。


「こ、こんなに……」

「フフッ。遠慮しないでいっぱい食べて行きなさい。そして、いっぱいお話しましょう」

「はい!」


 マヤも圭一も、中島も笑った。










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