波間にてその2
圭一と中島とマヤが波打ち際ではしゃぐ。
スカート履いてた時から分かってたんだけど、マヤって足が長い。
水着になると、なおさらそれが際立つ。
だからこんなにドキドキするんだ。
さっきのドッキリのせいだけじゃない。
まあ、はっきり言って、ちょっと期待してた部分もあったけど。
それだけ魅力的な女の子だって事だ。
「何だ、圭一。鼻の下伸びてんぞ」
圭一の顔をチラッと見た中島に指摘される。
「えっ、ええっ。そんなに?」
「ああ。って、嘘だよ。そんなに目立たない。だけどマヤちゃんに見とれてたって事は、妙な事考えてたんだろ?」
「は? ち、違うよ」
図星。
図星だけどズバッと言われると、否定したくなっちゃう。
「ホントか? あ、マヤちゃんのお尻がチラリと」
「ええっ? ど、どこ?」
マヤは背中を向けて砂の上に座っている。
どうやら圭一の母親と話している様だ。
中島はニタニタ笑っていた。
「な、中島。からかったな」
「くくく。圭一、面白っ」
「ねえ、二人とも」
マヤが立ち上がり、怒った様な顔でこっちに来る。
「聞こえていたんだけど、私のお尻が、どうかしたの?」
「えっ? そ、それは……。圭一、何か言えよ」
「な、中島こそ」
一気にしどろもどろになる。
「見たの?」
「み、見てない。見てないから。その、可愛いなあ……、と」
「……は?」
「マヤちゃん。このくらいの年の男子ってのは、色々想像するものなんだよ」
圭一達の様子を見かねてか、彼の父親が入ってくる。
「想像、ですか?」
「そう。特に君みたいな足が長くて可愛い女の子の前ではね。それだけ君が、魅力的って事だよ」
カーッ。
マヤの顔が一気に紅潮して行くのが分かる。
彼女は恥ずかしそうに頬に手を当て、目を反らしうつむいてしまった。
魅力的、なんて言われたら。
「ま、マヤ……」
喋っても大丈夫かな。
圭一は確かめる様にゆっくりと声を出した。
「圭一、ホントなの?」
マヤが顔を上に上げる。
圭一の瞳をじっと見た。
「ホントに、想像してただけ?」
「あ、うん」
「良かった~。私もしかして、水着からお尻がはみ出してたかと思ってた」
「そ、それは無いよ」
「そう。でもね、あんまり変な事想像しないで。私……、恥ずかしいんだから」
「わ、分かった。なるべくそうする」
約束は出来ないけど。
だって、これは、その、調節出来そうにないから。
つい、見てしまう。
成長の証。
圭一の母親がパンパンと両手を叩いた。
「いいわね~。青春ね~。わたしにもそんな時期があったわ。さあ、マヤちゃん、中島君、圭一。一緒に泳ぎましょう」
そう言い、先頭になって海に入って行く。
「か、母さん。あんまり急ぐと、危ないよ」
「あら。無茶はしていないわよ。それなら、若者が先に行きなさい。テトラポッドの所までね。わたしは父さんと行くから」
「わ、分かった。行こうマヤ」
「ええ」
圭一、中島、マヤが泳ぐ。
マヤの髪が濡れた。
それを見て、圭一の胸がまたときめく。
ドキン。
艶やかな髪の後ろ姿。
マヤが振り向いた。
「圭一、遅れてるけど、どうかしたの?」
「え? ううん。何でもないよ」
「中島君が、競争しようって」
「競争? よ~し、負けないよ」
「私もよ。せ~の」
三人が足を蹴り出しクロールで進む。
誰が勝つのか。
その様子を微笑ましそうに、父親と母親が見守っていた。




