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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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思い託して

 ここは、何処だろう。

 いつの間にか気絶していたらしい。

 目が覚めたら、本部アジト近くまで戻って来ていた。

 そうか、ワープを使ってここまで飛ばされたという訳か。

 バリーさんがモニター画面を操作したと思ったら、車が急にギュンと前方に引っ張られていく様な不思議な感覚に陥った。

 あと身体はG を受けた様な、ズンと重い感じがしたという記憶はある。

 いつ意識を失ったのか分からない。

 スッと明かりが消える様に。

 一瞬で眠りに落ちたという感じだ。

 圭一が頭を上げると、隣のマヤも起きた。


「ん……。圭、一……」

「マヤ……」

「ワープは……、無事に終わったみたいね」

「そう、らしい……ね」


 はっきり言ってワープが成功したかどうかなんて、良く分からない。

 ただ目が覚めた場所が本部アジトの近くで、DEX の姿が見えないって事を踏まえると、ああ、終わったのかなって感じはする。

 時間差で中島、バリー、ジンも目覚めた。


「バリー、大丈夫だべか?」

「……ええ、何とか。なんかまだ頭がフワッとした感じはしますけど、生きてます。はっ。圭一君達は?」

「僕とマヤも大丈夫ですよ。バリーさん」

「俺も何とか生きてます」

「そうか。安心したよ。フィールズ博士、メド、クローン!」


 バリーは近くに博士達の車があると思って叫ぶ。


「ここだ。バリー」


 良かった。

 後ろの方から声がする。

 一同は振り向いた。


「どうやら、本部アジトに近い箇所まで飛ぶ事に成功した様だな。狙った訳ではないが」


 ワープの衝撃でハンドルに頭をぶつけてしまったのか、博士の額が少し赤くなっていた。


「博士! 大丈夫ですか?」

「これくらい問題無いよ圭一君。心配してくれてありがとう。君達も無事で良かった。どこか気持ち悪いとかは無いかい?」

「……はい。バリーさんみたいに、ちょっとボーっとなってるという感覚はあるんですが。なんか、揺れてるみたいな……」

「うむ。めまいに似た状態になっているのだろう。あれだけ一気に重力を受けたからな。少し休めば治まるだろう。それより」

「マグはっ、無事か?」


 博士が言い終わるより先に、メドゥーが車を降りてジン車のトランクに駆け寄っていた。


「マグ、マグ!」


 メドゥーが揺さぶる。

 弟は兄に向けゆっくり微笑んだ。


「……兄、さん」

「マグ!」

「痛、かった……よ。DEX のビームと……、トランクに落ちた時……」


 呼吸が、苦しそうだ。

 同じように駆け寄って来たクローンと博士が様子を伺う。


「……無理に、話さない方がいいマグ。すぐアジトに着く」 

「エエ。アジトデ本格的ニ治療ヲシタ方ガヨロシイカト」

「いいえ、自分、は……」


 力無く、でもしっかりと博士達を見つめて告げる。

 一応予備のドクターで治療を受けてはいるが、ビームで貫かれた際の傷跡が酷く、今のままでは回復は低いと思われた。


「自分、は……、マヤちゃん達を助け出す事が出来て……、もう、悔いは、無いです。博士達も分かってる……、んでしょう? 回復は……、絶望的だって……」

「そんな事……、は無い」

「博、士……」

「わたしは、諦めてはいない。まだ君の為に出来る事があると」

「そうだ、マグ。俺を絶望させるな」

「……兄さ……」

「そうよマグ。私はまだ、あなたに生きて欲しい!」

「……マヤ、ちゃん……」

「ええ。あなたとやっと、仲良くなれると……!」

「……圭一、君……。中島、く……。ゴホッ!」


 マグが苦しそうにうめく。

 限界か。


「マグ! ジン、頼む! マグを早くアジトへ」

「分かったべ!」


 メドゥーの頼みにジンは車を急発進させた。


「メド、君も乗るんだ。後を追う」

「はい!」


 メドゥーも博士の車に戻り、急ぎアクセルを踏む。

 間に合ってくれ。

 メドゥーは祈る。

 大事な弟だ。

 ジンの車では後部座席のマヤ、圭一、中島が、倒れているマグを励ましていた。


「マグ、頑張って。私はここに居るわ」

「マグさん。僕達の言葉じゃ迷惑かもしれませんが、それでも僕は話しかけます。だって、僕はあなたの事、嫌じゃないですから」

「俺達はこの惑星イリアについて、知らない事が多くあります。別の星の人間には関わりないと言われればそれまでですが、種族の違いはあれど、分かり合おうと思えば分かり合えると、俺は思います」


 しかし、横たわるマグははあはあと荒い息を吐くばかりで、会話を返す事もままならない。

 これはもう、危険な状態だ。


「マグ、耐えるんだべ。もうすぐアジトに着くべ」

「そう。なるべく、いや、非常に急いでるから」


 ジンとバリーも前を向きながらだけど心配していた。


 キイッ。


 急ブレーキを踏む。

 本部アジトに到着した。

 クローンから連絡を受けていた仲間達が飛び出して来る。


「早く、マグを!」


 ぐったりしたマグが医務室へ運ばれて行く。

 後はもう運命に任せるしかない。

 医務室の外のドアの前で、メドゥー達は並んで待っていた。

 こんな所に居ても、何も出来ないのは分かっている。

 今ごろ中ではドクターと看護ロボットによる、懸命の治療が執り行われているだろう。

 何も出来なくても、側に居てやりたい。


(マグ……)


 メドゥーが唇を噛む。

 看護ロボットが出て来た。




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