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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
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ワープ発動

「マグ!」


 ニ台の車は空中で急停止し、DEX の方へと向きを変えた。

 マグは触手で掴まれたまま。

 指の動きからして、握られていると分かったが、マグの悲鳴が響いていない事を考えると、あまりギュウッと力は入れず、ゆっくりと軽く握られたと見える。

 博士達に対する人質、という感覚なのか。

 いや。

 DEX は言った。

 自分のエネルギーにする為に、マグを欲すると。

 自分の行動の邪魔をしたマグに、怒りを感じている様にも見受けられた。

 どちらにせよこのままでは、確実にマグが犠牲になってしまう。

 そんな事はさせない。

 メドゥーはエネルギー砲を構えた。


「ホウ。撃ツノカ?」

「ああ。弟を見殺しにはさせられない」

「見殺シデハナイ。先ニ行クダケダ。オ前達モスグダ」

「御免だね。弟を助けて、俺達も逃げる」


 エネルギー砲を発射した。

 マグを避けて、DEX の触手を狙う。

 バン。

 当たった。

 反射しないという事は、コーティング不使用という事か。

 触手は千切れ、はしなかったけどグニャリと曲がった。 


「痛イ、ジャナイカ」


 それでもマグを離さない。

 メドゥーはエネルギー砲を車の座席に戻した。


「ホウ。諦メタノカ?」


 DEX は折れ曲がった触手をもう片方の触手で押さえながら聞いた。


「諦めてはいない。方法を変えるだけだ」


 メドゥーが次に手にしたのは光線銃。


「オヤ、サッキノ武器ヨリ小サイジャナイカ。ソンナ物デ、私ヲ止メラレルト、思ウナヨ」

「止めるんじゃない。助けるんだ」


 メドゥーはジンに目配せする。

 ジンは頷いた。

 何をする気だろう、と圭一と中島は思う。

 が、声には出さなかった。


「博士、もう少し近づいてもらえますか?」

「了解だメド。上手くやれよ」

「はい!」


 何とDEX に近づこうと動いている車の後部座席に立ち、そこから銃を放った。

 狙いは、先ほどエネルギー砲を撃った際に開いた、触手の穴からぶら下がるコード。


 バシュッ。


 吸い込まれる様にコードに当たる光線。

 格闘技術だけじゃなく、射撃も優れているんじゃないか、メドゥーは。

 コードは切断される。

 ついにDEX はマグを手放した。

 海に向かって落下して行くマグ。

 その下にジンの車が滑り込み、彼を受け止める様に待ち構えている。

 あの目配せの間にここまで読んでいたのか。

 さすが博士の弟子同士。

 圭一達も凄いと思った。

 阿吽の呼吸だな。

 って、何処で受け止める気だ。

 バリーが椅子脇のボタンを押す。

 トランクの屋根が後ろに滑る様に開いた。

 なるほど、ここに。

 マグが落ちて来る。

 上手くタイミングを合わせて……。


「ジン、もう少し前に!」

「分かったべ」

「サセ、ルカ……」


 AIが危険を知らせてくれる。

 まずいと思って博士の運転する車が一時停止をした瞬間――。


 ズダン。


 ビームがマグの身体を貫いた。

 そのままトランクの中に落ちる。

 一瞬時が止まったように、仲間達はショックを受けた。


「な……」


 動けなかった。

 メドゥーがコードを撃った後、マグの方に注目していたからか。

 DEX がビームを発射しようとしているのに、気づけなかった。


「くそっ」


 メドゥーがエネルギー砲で狙う。

 DEX には当たらない。

 簡単に避けられてしまう。

 さらに彼らの車ごと壊そうとしているのか、第ニ段のビームを放とうとしているのが分かった。


「博士! コレ以上戦ウノハ危険デス! マグサンノ事モアリマスカラ、ココハ逃ゲマショウ」

「逃げるといっても、追いつかれてしまうぞ」

「ワープヲ使イマショウ」


 ワープ……。

 時空を歪め別の場所へと移動する技術。

 科学が発展したこの惑星にもその技術はあるのだが、人体に影響が及ぶ危険性もあり、あまり好んで使われてはいなかった。

 もしかすると別の時空間に落ちてしまう可能性もある。

 しかしクローンはあえてそれを使うよう提案した。

 そこまで追い込まれているという事。


「少シ飛ブクライナラ影響ハナイト思イマス。行キマショウ!」

「しかし、圭一君達も居る」

「博士! ココニ居タラ全員死ヌダケデス!」

「……っ」


 強めのクローンの言い方に、納得せざるを得なかった。


「……分かった」


 ジンとバリーも頷く。

 マヤ、圭一、中島はトランクに横たわるマグを心配して話しかけていた。

 返事は無い。

 メドゥーは唇を噛み悔しそうに震えている。


「逃ガサナイ」


 DEX の言葉を無視し、博士は車に取り付けられたモニター画面を操作する。

 車が震えた。

 ブルンブルンと渦を巻く様な音に包まれる。


 ビッ。


 DEX が博士の車に向かいビームを落とす。

 ニ台の車はビームから逃れるみたいに時空に消え、その場にはDEX だけが残された。


「フウ」


 ため息なのか。

 悔しさなのか。

 博士達の車が消えたその位置を、DEX は呆然と空中で眺めていた。



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