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青い稲妻  作者: 北村美琴
第2部イリア編
102/153

マグ

 ビームが命中した所から、鉄橋が崩落していく。

 光線が当たる寸前、博士とジンの判断で咄嗟に車を動かし直撃は免れたが、それでも衝撃は強く、バランスを崩して車から落ちかけた。


「み、みんな。ちゃんと乗ってるべか?」

「……僕は乗ってるよジン。圭一君達は?」

「僕もマヤも中島も乗っています。けど、後ろから橋がどんどん崩れてますけど……」

「だべな。ちゃんと掴まってるんだべ。わ!」


 車の後ろ側がガクンと下がる。

 鉄橋が崩落するスピードが、車に追い付いてしまったのだ。


「ま、まずいべ~。おわ~!」


 車は真下に向かい落下する。

 前を走っていた博士の車からマグが身を乗り出し叫んだ。


「マヤちゃん! バリー! ジンさんっ!」


 が、叫んでいる暇など無い。

 じきに彼らの車も落ちる。

 DEX が、ニヤリと笑った。


「ハ、博士……」

「うむ。クローン、翼を出す」

「ハイ」


 落下するニ台の車。

 そんな中でもフィールズ博士は慌てずに車を飛行状態にし、浮遊させ、安定させた。

 先に落ちたジンの車も、下の川の上でプカプカと浮かんでいる。


「……ふ、ふう。助かった……」

「そう。おいらのおかげで助かったんだべ。圭一君」

「……確かに助かったけど、翼を開くタイミングがもう少し早ければ、川に浸かる必要無かった、んじゃないかな」

「……バリーは、時々手厳しいべ」


 もし何らかの方法でビームの直撃を避けても、鉄橋が崩落し車はニ台とも川に落ちる、と見込んでいた目論見が外れ、DEX は悔しそうな表情を見せた。


「ム、ムム」

「見込み違いだったな、DEX 」

「……ソウカ?」


 博士達が上昇して来ても、DEX は諦めない。


「次ノ、方法ヲ、取ルマデダ」


 崖の上から触手を伸ばして来た。

 崩れ残った鉄橋を掴む。

 ぐぐっと触手に力を入れると、向こう側の崖から鉄橋がスポッと外れた。

 まさか……。

 外れないように安全に配慮して建設した物だぞ。

 それを簡単に剣の様に抜くなんて。

 巨大化したDEX は、それほど恐ろしい存在になったという事か。

 悪い予感がする。

 触手に掴んだ鉄橋を振り上げた。


「避けろ!」


 と叫んだフィールズ博士の車に、鉄橋が振り下ろされる。

 絶体絶命。

 ハンドルを切っていたものの、避けられないと悟った瞬間、


 ズドン。


 後部座席のマグが、エネルギー砲を発射していた。

 鉄橋は割れる。

 割れた鉄橋はジンの車スレスレを通り、川に転落した。


「ふう」


 博士は安堵する。

 一度は肝を冷やしたが、マグのおかげで助かった。

 クローンが礼を告げる。


「アリガトウゴザイマス、マグサン!」

「い、いやいや。咄嗟に手が動いて……」

「ク……」


 一度ならず二度までも。

 何故、この男は邪魔をする。

 DEX の目が恨むようにマグを見た。

 ニ台の車はDEX から距離を置くように、向こう側の崖に向かい上昇して行く。

 逃がさない。

 自分にはまだエネルギーが必要だ。


「待、テ」

「待てないと言ったであろう。DEX 」

「オ前デハナイ。フィールズ。ソコノ男ダ」

「……ん?」


 明らかにマグを指差している。

 メドゥーが気づいた。


「まさか、マグを……」

「ソウダ。私ノエネルギーヲ充填スル為ニ、ソノ男ヲ渡セ」

「出来る訳ないだろ! それにまだ巨大化する気か?」

「……ソウダ。私ニハマダ力ガ必要ダ」

「冗談じゃない。逃げるぞ。メド、クローン、マグを守れ!」

「……はい!」


 一気にアクセルを踏み込む。

 助手席のクローンが器用に後部座席に移動した。

 メドゥーと一緒に左右でマグを挟む様にガードする。


「博士……」

「マグ。大丈夫だ。君は渡さない」


 博士は必死の表情でハンドルを握っていた。

 マグは拳を両膝の上で握り下を向く。


(く)


 自分のせいでみんなに迷惑をかけている。

 勝手に本部を抜け出して、マヤちゃん達を助けに来たせいで。

 こんな事なら……。

 マヤちゃん達を助けに来た、という自身の判断自体は、間違っていないと思う。

 自分で決めて、その為に来たんだから。

 その事に後悔などしていない。

 ただDEX を怒らせて、自分が標的になっただけ。

 しかしその為に、博士達を巻き込みたくはない。

 狙われるのなら、一人で……。


 キッ。


 顔を上げて、背もたれに腕を回し、立ち上がろうとする。

 メドゥーが止めた。


「マグ。何をするつもりだ?」

「兄さん……」

「いいからお前は座っていろ」

「けど……」


 弟の性格は分かっている。

 自分がターゲットになってしまったせいで、仲間達が巻き込まれるのが許せないんだろう。

 メドゥーはマグの肩を押さえ諭す。


「マグ。分かってる。お前は戦士だ」

「……兄さん」

「が、俺達も同じレジスタンスの戦士だ。お前一人で戦うな。お前が思い詰める事はない」

「そうだべ。マグ」


 ジンの車が横に並ぶ。


「巻き込まれたって、おいら達なんとも思ってないべ。みんなで乗り越えればいいべ。みんなマグの事が好きなんだべ。だって、おいら達仲間だから」

「ジンさん……」

「そうよマグ。私達が居るわ。だから、迷惑だなんて思わないで」

「マヤちゃん……」

「ソウ上手ク行クカナ?」


 ガチャン。


 DEX の背中から、何かが飛び出してくる。

 筒状の物が二つ。

 あれは……、

 ジェットエンジンだ。

 点火する。

 DEX は崖からブアッと飛んだ。


「私ハ飛べナイ、トハ言ッテイナイ」


 車を追いかけて来る。


「博士!」

「むむっ」


 触手が、マグを掴んだ。


「な……。弟を離せ!」

「DEX 、止メナサイ!」


 メドゥーとクローンの抵抗虚しく、マグは引き上げられてしまう。


「サア。私ノエネルギートナッテモラウゾ」


 DEX はマグの身体をゆっくりと握った。









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