最後に見た光景
そして、そこからの四日間はまさに地獄であった。
日が明るいうちは人目がない森の中等へ隠れ、日が落ちれば月明かりを頼りに、日が明けるまでひたすら進む。
この俺がまるでならず者のように過ごし、足の裏には豆ができては潰れ、着の身着のまま逃げ出したため貨幣など持っているわけもなく、当然食事にもありつけない。
水は川の水を直接飲み、腹を下し、空腹に耐えきれず草を食べては腹を下す。
まさに地獄の日々であったのだが、それも今日で終わりだ。
俺の目の前には闇ギルドの建物。
一見普通の民家にしか見えないのだが、この家には地下に通じており、そこからギルド本部へと向かう事ができるのだ
「それでお前はノコノコここまで逃げてきたと?」
「おい、いつも言っていだろうが。 俺を誰だと思っている? 伯爵家のホーエンハイム──」
「あ? ホーエンハイムなら潰れたときいだんだがなぁ? まさか俺のところへ来た情報が間違っているなどとは、言わないよなぁ?」
「ぐぬっ……」
そして今俺の前で偉そうにソファーの上で女を二人侍らせながら葉巻を吸い、俺へと息を吹きかけてくる大男が闇ギルドのマスターである。
首には金のネックレス、指全てにはさまざまな宝石の指輪を付け、胸にチラリと見える冒険者証明書の板はSランクを示す金色をしている。
普段であればブチギレている所なのだが、俺には今頼れる場所がここしかないのだと寸前の所でグッと堪える。
「おいっ! 御託はいいからサッサと俺を安全な場所へかくま……へ?」
「お前、俺を誰だと思っているんだ?」
「あ……い、痛いっ! 痛いっ! お、俺の右腕がっ!? な、なんでっ!?」
そして俺は、このまま安全な場所まで俺を送るように指示を出そうとしたその時、俺の右腕は見えない何かにより斬り飛ばされ、床に転がる。
「なんでってお前、貴族じゃなくなったお前こそ何だ? しかも犯罪まで犯しているとなると平民以下、下手すればスラム街に住むゴミ以下じゃねぇか」
「ふ、ふざけんなぎゃぃんっ!?」
あんまりな物言いに、流石に我慢ならず怒ったその時、俺の顔面を思いっきり殴られ、数メートル程吹き飛ばされる。
「巫山戯ているのはテメェーだろうがっ!! 追っ手がいるかも知れねぇのに何ノコノコここに来てんだこのゴミ虫がっ!!」
「ご、ごみ──」
「死ね」
「あぺ……」
「たく、手間取らせやがって。 直ぐにずらかる準備をしろ」
俺が最後に見た光景は回転する世界の後、なぜか手で庇う事も出来ずに地面に顔面が直撃する光景であった。
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ここで第一章の終了でございます(*'▽')ここまで読んでいただきありがとうございます!!
私的には、ここまでがプロローグという感じでございまして、これから長い長い旅路の始まりへの第一歩という感覚でございます(*'▽')
二章はブリジットさんやスフィアさんに次ぐ、新たなゲーム内のヒロインさんが登場します\(^o^)/主人公よ、強く生きるのだ。
そして、この作品のストックが切れました('ω')
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そしてここまで読んでみて、面白かった、続きが読みたいと思っていただけた方は是非とも評価の程お願い致します(*'▽')




