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お前よりかはマシだと耳元で囁く

 ほんと、チートだと自分自身でもそう思うのだが、あれから一週間もの間敵意むき出しで尾行される鬱陶しさもそろそろ限界が来ているのでお灸をすえる事にする。


「いつまで尾行を続けるつもりだ? メリッサ」

「っ!?」


 いつものように森まで歩いて来た俺は、そのままいつも通り森へと入ることはせず少し開けた場所へと移動すると尾行している町娘に変装したメイドの名前を呼ぶ。


 しかし、名前を呼ばれたメイド長は一瞬息を詰まらせるも返事はしない。


 どうせボンクラ息子の俺に自分の尾行がバレる訳がない、ハッタリであるとでも見下しているのだろう。


「なぁ、飼い犬に腕を嚙まれた場合は我が家で誰が一番なのか躾しなおしてハッキリさせなければならない、そうは思わないか?」


 そして俺は少しだけ殺意を込めてメリッサへとナイフを投擲すると、いとも簡単に弾かれ、次の瞬間には町娘の服装からいつも見るメイド服へと着替えていた。


「フン、私の尾行を見破ったことは褒めてあげましょう。 そして躾をしなおす必要があるのは同感ですね。 まさかあなたごときがこの私よりも上であるという勘違いをしているとは思ってもおりませんでした。 自分の立場が分からないからあなたはボンクラなのですよ? 大丈夫です。 旦那様からは貴方を殺すように命じられていますのでどちらが立場が上かしっかりと躾けなおした後はしっかりと殺して上げましょう。 むしろ自分から殺されに来たのですから殺す手間が省けた事だけは褒めて差し上げましょう」


 そして尾行がばれたとしても魔術の才能も体術の才能もない俺相手ならば余裕で始末できるとでも思っているのであろう。


 メリッサは饒舌になると依頼主が父親である事までペラペラと喋りだした。


 まぁ、初めから分かりきっていた事なので別段驚きはしないが、実の親から要らないと言われ続けたカイザルの気持ちがほんの少しだけ分かった気がした。


「確か、異国の言葉でこんな言葉があったな」


 そう言うと俺は心底見下した目でメリッサを見る。


「弱い犬程よく吠える」


 次の瞬間俺がいた場所に大きな火柱が立っていた。


 普通の人間であれば骨すら残らず灰になっていたであろう威力である。


「まったく、上のものを怒らせて躾けられることもできずに死ぬなんて、どこまでボンクラだったのかしら?」

「そうだな、お前よりかはマシなボンクラだな」

「……っ!?」


 そして俺はメリッサの背後へまわると軽く肩を叩き、お前よりかはマシだと耳元で囁く。


 すると一瞬だけ驚愕した表情をしたメリッサは勢いよく跳躍して俺から離れる。

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