閑話ー奴隷娘の休日6
「どうしたの? ぼーっとして」
「いえ、ちょっとご主人様の事を思い出してただけだから。 さぁ、何を食べようか?」
とりあえず今日は服屋に行く事が決まったので一旦街のカフェでお昼ご飯を食べてから行こうという事となったのだが、今この瞬間がキラキラとし過ぎて、ふと家族の事、自分の事、ご主人様の事などを思い出してしまっていた。
「本当、君はご主人様の事が大好きだよな」
「そういうガレットもでしょう? まぁ、わたくしの方がご主人様の事をお慕いしている気持ちは上ですけれども」
「いいや、僕だねっ!!」
「まぁまぁ、みんな同じくらい大好きなんだから不毛な争いはやめようよ。 せっかくの楽しい時間なんだから、最初から最後まで楽しい時間にしようよ」
そして、ご主人様の話題になると、たまにどちらがご主人様の事をお慕いしているのかという不毛な言い争いになるので困ったものである。
それと同時に皆ご主人様の事が本当に大好きなんだぁ、と思う。
まぁ、生きていても仕方がないといような地獄の日々を暮らしていた私達に、今生きることが心の底から楽しいと思える日々をくださったのだ。
大好きになって当たり前である。
それに、イケメンだし。
まるで、私が物語のヒロインになったみたいだ。
「それで、何を頼みますの? ちなみにわたくしはコーヒーとベーコンエッグとパンのセットにいたしますわ」
「なんか、未だにエルフのメアリーが卵や肉を食べるところをみると違和感を感じるんだが」
「あ、分かります」
「私も」
「で、ですから何度も迷信だと言っているではないですかっ! 森の奥地で暮らしている者が多いので基本的に菜食となっているだけで、魚も食べれば獣も頂きますわっ! ただ、獣はたまにしか捕れないのですぐ採れる山菜や畑で採れる野菜を主に食べているだけですと、何度言えばわかるんですのよっ! あなた達はっ!! て、言いますか家禽はほとんどの集落で飼っておりますので卵は普通に毎日食べておりますのに、なんでそんな偏ったデマが広まっているのですっ!!」
そして、もはや食事の時の恒例になり始めている流れを一度挟んで各々ウェイトレスへ注文する。
私が頼んだものは紅茶とソーセージとパンのセットを、アンナはヤギ乳と人参の丸焼きが出来るか店員に確認して、出来るとのことなので人参の丸焼きを3本、ガレットは水とステーキ、食後にお茶を頼んでいた。
なんというか、エルフのメアリーは置いておいてケンタウロスのアンナとドラゴノイドのガレットはまんまイメージ通りである。
 




