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所有権


「まるで肥え太った豚だな」

「お恥ずかしい限りですご主人様」


 俺が最初にモーデル家の元当主に抱いた感想は脂ぎった顔に肥え太った巨体という、当初想像していた姿かたちとは似ても似つかぬ体つきの禿げた男性であった。


「だ、誰だこの失礼なクソガキはっ!! この俺を誰だと思っていやがるっ!! そもそも俺を前にして仮面を被り姿を見せないとは何様だっ!?」

「うるさい、黙りなさい」

「……………………っ!!」


 そんな肥え太った豚は俺を見るなり指をさし、唾を飛ばしながらブヒブヒと身体を揺らしながら叫び散らすのだが、ブリジットの命令によって声がだせなくなっても尚叫ぼうとし続けている。


 そいつがモーデル家の元当主であるダミアン・モーデルというのだから頭が痛くなる。


「何事ですか父上」

「朝からそんなに騒いでどうしたというのですか」


 そして一応用心して素顔を見られないように仮面を被ってきて正解であったと思っていると二人の青年が俺たちのいる部屋へと入って来る。


 そいつらの顔は良く知っている。


 俺の一つ上のクロイツ・モーデルと、二つ上のレオ・モーデルである。


 学園ではそれこそ良く正義感を振り回しては近づいて来て何度もお世話になったものだ。


 まぁ、それに関してはブリジットも似たようなものなのでモーデル家らしいと言えばモーデル家らしいと言えよう。


 しかしながらお世話になった恩を忘れる程おれも恩知らずではないのだが、さすがに正体をばれる訳にはいかない為、あの日受けた恩は後日まとめて一括払いで返してやろうと心にメモしていく。


「おいブリジット、そいつは誰だ?」

「返答によってはどうなるか分かっているんだろうな?」

「……………………黙れ。私の、そしてこれからはお前たちのご主人様に対して、少々お前たちは無礼すぎやしないか?」

「……………………っ!?」

「……………………っ!!」


 そして体つきこそ二人とも筋肉質で父親とは正反対なのだが言葉を封じらえた後の二人の反応はそっくりではないか。


「ご主人様、まるで火に飛び込む虫の如く向こうからやって来ましたので早速私からご主人様へと奴隷の所有権を移し替えてしまいましょう」


 他にも執事長を筆頭に裏で国家転覆に関わっていた者達もいるのだが、その者達は既にブリジットが奴隷化しているようなので、今回はひとまずこの三人を俺の奴隷として所有権を移し替えるだけで良さそうである。


 そして何かを言いたそうに必死に口を金魚のように開き、抵抗しようにも動きを封じられており、はたから見たらまるで溺れているかのようである。


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