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ああ、やっぱりな

 そして件の奴隷メイド達は先程から絡んでくる筋骨隆々の身の丈二メートル程の巌の様な男性を無視し続け、次第に不機嫌になって行く男性に恐怖を感じながらも聞かれた質問に受け答えする受付嬢。


 そして我慢の限界が来たのかついに件の男性が切れて背中に背負っている大剣を抜き、構える。


「この剣で切られたくなければさっさと俺のいう事を聞きやがれっ!!」


 恐らくこの男性は長期クエストに行っていたか、最近来たよそ者であると思うのだが、この俺が顔を知らないという事はよそ者であろう。


 何故ならば自慢ではないが俺は基本的に働きもせず朝からギルド内にあるバーで安酒をちびちびと飲んでいるからだ。


 この俺が見たことも無いという事はそういう事だろう。


 俺の予想では別の街でも同じような事をしてお灸を据えられてしまい、そこではクエストを受注できなくされてここへ流れ着いたとかだろう。


 ああいう人間はそうそう変わるようなものじゃない。


 でなければあの歳までには、こういう行為をやらなくなっているはずだからである。


 力があれば弱い者へ何しても良いと思っている、悪いのは力が無い奴が悪い。


 腕っぷし一つで成り上がっていく職業である冒険者は意外とこの考えを持つ者が多いからむしろ俺たちは魔物よりも同業者を警戒しているほどである。


 しかし、だからこそ俺の様な者は働かずに生きていけるのだからありがたい限りだ。


 バカから稼ぐのが一番楽だからな。


「……………………職員さん、今私たちがこの人に反撃した場合は正当防衛が適用されますよね?」

「あ、はいっ! 相手は攻撃の意思があることも告げており職員である私も聞いてますし実際に目撃しておりますので──」

「ありがとうございます」

「ガハハハッ! 馬鹿かお前……ぐふぅっ!?」


 そして件の奴隷メイドの中の一人、眼鏡をかけて長い黒髪を頭の上で纏めているヒューマンのメイドがギルドの受付嬢に反撃しても正当防衛で済むか確認し、それに対して正当防衛が適用される事をギルドの受付嬢が言い終える前に件のメイドは絡んできた男性へ疾風の如く駆けだすと次の瞬間には腰の入った蹴りを男性の股間へめり込ませていた。


 その間約二秒にも満たない早業である。


 男性は突然の出来事で反応する事が出来なかったのだろう。


 防御する事も出来ずにあの蹴りをダイレクトに喰らってしまい、泡を吹きながら床に崩れ落ちてしまう。


 その光景をみた周囲の人間は『ああ、やっぱりな』という表情をしながら日常へ戻っていく。

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