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これでもかと主張して来る

「分かった。 なら一緒に登校しようか」

「はいっ! ご主人様っ!!」


 自分で蒔いた種だ。


 上の失敗を下に擦り付けるような最低な行為を俺はしたくない。


 そう自分に言い聞かせてブリジットと一緒に登校する事を渋々承諾する。


 なってしまったものは仕方ない。


 それにどうせ俺の悪口のネタが一つ増えるだけである。


 今さら悪口のネタが一つ増えたところで俺の学園での立場は変わらない。


 同じくブリジットも噂をされるのだろうが、良くも悪くも俺の被害者としての立場で噂されるのだから、それさえ目を瞑ればこれと言った問題は無いだろうと思いたい。


 もしかしたらこれをネタに強請ったり、俺にお願いをすればブリジットと大人の関係になれるかもしれないと頭の弱い男性が寄って来るかもしれないが、俺が潰すし、万が一ブリジットが一人の時に現れたとしても、彼女であればその様な有象無象など片手で捻り潰せるだろう。


「はぁ……」


 そして俺はこれからの学園生活を想像して何度目かの溜息を吐く。


 そんな俺の腕には、腕を絡みつけて胸を押し付け、その女性特有の柔らかさをこれでもかと主張して来る。


 これは端から見ればどう考えてもバカップルなのだが、正義感が強く優等生であるブリジットと悪名高いカイザルの組み合わせなので誰が見ても『カイザルが弱みを握って無理やりさせている光景』の出来上がりである。


「てか、そもそも腕を組む意味はあるのか?」

「私が組みたいから組んでいるのですが、駄目でしたでしょうか?」

「わ、分かった」


 何を分かったのか自分でも分からないのだが俺も男である。


 どんと構えてあとはなるようなると待ち構えるだけだ。


 そして当然、ブリジットと腕を組み(はたから見ると無理やり侍らせているように見える事だろう)登校した俺たちはまさにゴシップを餌にして生きている令嬢達からすれば正に格好の的であり、教室へ着くころには俺がブリジットの弱みを握って強引に侍らせながら登校してきたという噂が何故か本人である俺たちよりも早くこのネタが既に教室中に広まっていた。


「ブリジットッ!!」


 そんな俺たちが教室に入ると、先ほどまで廊下まで聞こえて来たクラスメイト達の話し声がパタリと消え、静まり返った教室にブリジットの名前を呼ぶクロード殿下の声が響き渡る。


「大丈夫かっ!? ブリジットッ!! 何でこうなる前に俺に相談の一つもしなかったんだっ!? 俺とブリジットの仲ではないかっ!!」

「クロード殿下には関係の無い事です。 放っておいて下さい」


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