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●悪役キャラに転生したみたいなので闇の秘密結社を作ったら何故かハーレムになっていた件  作者: Crosis
第一章

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気付くのに数秒間かかった



 最近何かが足りない。


 それは何だと思っていたのだが、俺の側にブリジットがいつの間にか来なくなったことだと気付いた。


「どうしましたの? クロード殿下」

「スフィア、心配してくれてありがとう。 でも何でもないよ」

「そうですかっ。 安心いたしましたっ」


 そんな俺の些細な感情に、カイザルの元婚約者であるスフィアが気付いて心配してくれるので大丈夫だと返すと花が咲いたように微笑んでくれる。


 どうやらスフィアは例の事件で助けたのが俺だと勘違いをしているみたいであるのだが、いくら否定しても信じてもらえず逆に一層仮面の男性の正体は俺だと勘違いし始めるので最近は聞かれても微笑み返すだけにしている。


 これで彼女が安心して学園生活を送れるのならば安いものだ。


 あの事件以降は一見何も変わっていない。


 しかしながらブリジットが俺の側にいないという事を一度気付いてしまってからは俺は常にブリジットを目で追いかけるようになった。


 俺の婚約者候補の一人であり、正妻とならずとも第二、第三妃として娶る確率はかなり高い異性の一人である。


 以前はそれだけの存在であったのだが、いざその存在が自分の側からいなくなったと気付いたその時から俺はブリジットが気になって仕方が無くなってしまう。


 女性としては珍しく凛とした佇まいに切れ長の目、髪は後ろで纏めて中性的な雰囲気の彼女なのだがそれがまた彼女に合い、他の令嬢には無い美しさを彼女は持っている。


 例えるならば、それはまるで崖に一輪だけ咲いた白百合の様な、そんな美しさである。


 勿論今までだって婚約者候補の一人であったのだから意識しなかったわけではないのだが、それでも婚約者候補の一人という認識であった。


 そんな彼女が俺の側にいなくなって初めて強く意識し始めるとは、自分でも驚きである。


「ねぇ、ブリジットさん」

「何でしょうか。 クロード殿下」


 そして昼休み、俺は意を決してブリジットへ近づき声をかける。


 普段であれば黙っていても向こうから我の元へやって来るので我から異性に声をかけるという事などしないのだが、ブリジットは一向に俺の元へと来ない為意を決して声をかけてみる。


「一緒に昼食でもどうかなって。 ここ最近ブリジットさんと会話できていないし、久しぶりにお話してみたいな」

「さようでございますか。 私ごときを誘って頂いたクロード殿下のお気持ちは嬉しく思いますが──」

「──じゃあ早速みんなと食堂へ行こうっ」


 ブリジットも俺が誘ってくれて嬉しいという返事を聞き、俺はブリジットの言葉がまだ言い終える前に彼女の手を取り食堂へ行こうとするのだが、次の瞬間ブリジットの手をつかんだ手に衝撃が走る。


 ブリジットによって掴んだ手が振り払われたのだと気付くのに数秒間かかった。

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