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主人公ムーブ

 そして俺はもう一つ気付いてしまう。


 皇帝陛下は一言もクロード姫の兄であるダグラス殿下が結婚するとも皇位を継ぐとも言っていないのである。


 似たような言葉を言っていたとしてもそれらの語尾には全て『かもしれない』などと濁しており、断定は一切していなかった。


「本当の本当に大丈夫か? カイザル。 汗の量がただでさえ尋常じゃないレベルなのに更に酷くなってきているぞ?」

「いや、大丈夫だ……うん、大丈夫なはずだ」


 いや、本当は間違いなくやばい状況なのだが、ここで認めてしまってクロード姫とフラグを立ててしまう事の方がヤバいのでクロード姫の前では大丈夫と言って誤魔化しておく。


「はずだって……お前なぁ……奴隷たちから聞いたぞ? そうやって痩せ我慢して苦しい時も一人で何とかしようとして奴隷たちに頼らないみたいじゃないか。 しかもスフィアの件も本当はスフィアを守るために自ら悪者に成り下がったらしいな……。 実際ここ最近スフィアに起きた事件は全て黒の仮面の君であるお前が助け出している事からも間違いないだろう。 本当に、不器用すぎなんだよお前は」

「は? いや、何のことだ?」

「図星をつかれて狼狽しているお前を見られるとは今日はついているかもしれんな。 だが、そうやって簡単に狼狽した姿を俺なんかに見せてしまうほどには追い詰められているんじゃないのか? お前一人では抱えきれなくなって来ているんじゃないのか? そろそろ誰かに頼っても良いんじゃないか?」


 そしていきなりクロード姫が変な事を語り出してしまうため俺は一瞬『何言ってんだ? コイツ』と思ってしまい固まってしまうのだが、それをクロード姫は図星だと勘違いして更に斜め上の事を言い始める。


「裏で人攫いを粛清していったり、王国との戦争を事前に止めたり、俺の兄貴を密かに助けたり、ここ最近の出来事だけでこれ程帝国のため、そして人のために活動してきているのだ。 それは今までだってそうだったのだろう。 そしてその事を勘付かれないためにも表では屑を演じるしかなかった。 もし勘付かれでもしたら腐った両親や弟妹に何をされるか分かったものじゃないからな。 家族ですら味方ではないお前には奴隷だけしか心を許すことが出来なくなっていったのだろう。 だが、今の俺はお前の奴隷だっ!! お前が奴隷じゃないとその背中を預ける事ができないと言うのであれば俺はお前の奴隷であり続けるっ!!」


 うん、いやほんと、何を言ってるんだ? コイツは。


 あと、こうと思ったら主人公ムーブかまして猪突猛進一直線に突き進むのはクロード姫の悪い部分であると誰かコイツに教えてやってほしい。


 馬鹿につける薬は無いとは良く言ったもんだ。

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