あぁ……そうだな
「…………何故だろう? 頭が痛くなってきた」
「大丈夫ですか? ご主人様」
「お疲れならば私が膝枕してあげようかしら?」
「いや、大丈夫だ。 間違いなく一時的かつ精神的な原因だから」
「それはっ!? まさかスフィアさんを拐った敵がご主人様に精神攻撃をしてきているという事ですねっ! 許せませんっ!!」
「しかし、どうやって私たちのご主人様へ精神攻撃をしたのかは分かりませんが、ご主人様にそのような事が効くわけない上に、その攻撃された方角を逆算すれば自分達の居場所も突き止められるとも知らないで……身の程を教えて差し上げましょう。 ご主人様っ!」
「……あ、あぁ……そうだな」
お前達のせいだけどねっ!!
そう言えたらどれだけ楽か。 しかしながらそれを言ったところで何が問題だったか理解させるまでにかなりの時間と労力を使うことは目に見えているので諦めることにする。
そんな労力と時間を使うのならばスフィアを助け出すことに使った方が有意義だろう……。
そして俺はスキル【マップ】を使ってスフィアらしき者を探す。
こういう時にこのマップは人物名とかが出ず、赤色の敵か緑色の味方か白色のその他かしか分別されないのが不便であるのだが、それでも人の動きは見えるため複数でおかしな移動をしていたり帝都外へ出て行こうとしている者の中でおかしな動きをしている者達はいないか探し出す。
こんな事ならば予めスフィアにつけていたマーキングを外すんじゃ無かったと後悔する。
前回と違って今はクロード殿下はクロード姫になっている上に皇位継承権も剥奪されている為クロード姫ないしクロード姫の周囲はもう安全だろうと思い、マーキングできる人数も限られている為その枠を空ける為にもスフィアにつけていたマーキングを外してしまったのである。
そして明らかにおかしい動きをしている四人組を見つけたのでそこへと黒の仮面をかぶって駆け出そうとする。
「お、おいお前……その仮面ってまさか」
「そのまさかで間違いないが、今はそのことよりもスフィアを救い出す事が優先だろう」
「そ、そうだなっ!」
目の前で黒衣の衣装に黒の仮面を装着した事により流石のクロード姫でも俺が誰であるのか流石に理解したのであろう。
おそらくブリジットやカレンドールも俺が動きやすいようにクロード殿下を奴隷化させたのだと思いたい。
俺の奴隷となったことでクロード殿下は今巷で噂になっている黒の仮面の君の正体が俺であると分かったところでそれを第三者にあらゆる手段を以ってしても伝えることはできない。




