ばるんっ!
「ね、寝言ではないっ!! 俺は本当にお前の事を思って言っているんだっ!!」
「あ、そうですか。 ですがそんな事よりも今は自分の身体の心配をした方がいいんじゃないですか?」
「んなっ!?」
私が黒の仮面の君の事で大事な作戦を立てていた時に、クロード殿下が話しかけてくる。
前回カイザルに負けて大恥をかいたというのに未だにこの学園に通っているのはさすがというか図太いというか、むしろその図太さがあるからこそ今もなお私に声をかけてきているのだろう。
普通ブリジットさんの事でカイザルに決闘を申し込んどいて、舌の根の乾かぬうちに私にこうして『好き』だの『愛している』だの絡んでくるのだから図太くなければこんな事できないだろう。
カイザルも最低だが、クロード殿下も最低である。
いや、今はクロード姫と呼んだ方が正しいかもしれない。
「だって、あなた決闘で負けた上に精霊契約をしていたにも関わらず逃走した結果、女体化してしまっているじゃないの。 『精霊契約の内容を聞いてなかったから無効だっ!!』とか言い始める始末ですし……。 さぞ皇族も今のクロード姫の処遇に頭を悩ましているでしょうね」
「クロード姫と呼ぶでないっ!! 所詮は精霊契約で女体化されているに過ぎないのだっ!! ならば他にこの女体化を無効化、または逆に男体化する方法もあるはずだっ!! 今はまだ女の身体なのだがいずれ直ぐに元の男性の身体に戻る方法をスフィアのために見つけ出してやるっ!!」
そしてクロード姫はやる気は十分とばかりにフンスと鼻息荒く胸を張る。
そして『ばるんっ!』と揺れるクロード姫の私よりも数倍大きな胸を見て腹が立つのと同時に、私よりも女性らしいその身体をしといて何寝言を言っているんだろうと思ってしまう。
というか、そのキラキラと輝く金髪も腹が立つ。 しかもしっかりと長髪になっているし。
そして今や学園三大美女の一候補にされそうになっている程に男子からの人気も鰻登りである。
そもそもクロード姫はつい最近まで男性であった為元から男子との距離感は他の女性達よりも近く、簡単に男性の懐に入ってしまっているので他の女生徒からは『私の好きな異性に卑怯な手を使い籠絡しようとしやがって』と逆恨みされ始めているくらいである。
しかも元々顔だけは良かったので女体化したクロード姫も学園三代美女候補に入るレベルの美少女なのだ。
そこにこの大きな胸。
一度その胸を雑巾の如く絞ってやろうかしら……。
「精霊契約を流石に舐めすぎでしょう……クロード姫。 一度しっかりと精霊契約を勉強し直してきてはいかがかしら?」