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運命


 

 スフィアは考えていた。


 毎日毎日あの日から考えていた。


「どうすれば黒の仮面の君にもう一度会えるのでしょうか……。 私はこんなにも毎日黒の仮面の君の事を想っているのに……こんなにも私は黒の仮面の君の事をお慕い申しているというのに……」


 そして私はため息を吐く。


 黒の仮面の君は私を助けていただいたあの日以降私の前に一向に現れなくなってしまった。


 私の勘というか、これは最早産まれる前からの運命で決まっている事だとは思うのだけれども私と黒の仮面の君は両思いであり一つになる定めなのだ。


 だというのに何故黒の仮面の君は私に会いに来てくれないのか。


 私はいつ駆け落ちしても良いように心の準備は毎日万端であるというのに。


 そして私は考え始めたのである。


 何故黒の仮面の君はあの日以降私の前に現れないのかという事を。


 そして私はあることに気づく。


「今まで黒の仮面の君が私の前に現れてくれたのは決まって私がピンチになった時……。 という事は私がピンチになると愛しい私を助ける為に私の前に現れてくれるのではないのでしょうか?」


 きっとそうに違いない。


 おそらく黒の仮面の君は何らかの事情で私の前に姿を表す事はできない状況下にいるのだ。


 けれども私がピンチになるとそんな事を言ってられる状況ではないのでルールか掟か分からないのだがそれを破ってでも私を助けに来てくれたのだろう。


 だからこそ黒の仮面の君は私の前に現れてくれた時は常に黒い仮面を被っていたのであろう。


 出会うことも本来であれば許されない彼が私に正体がバレてしまっては、もう会えなくなってしまう。 だから黒の仮面の騎士は苦肉の策で仮面を被って正体を隠して私を助けてくれる。


 そう考えてみれば今までの全てに辻褄が合うではないか。 きっと間違いなくそうに違いない。


 という事は、次に黒の仮面の君に会える時は私がピンチになった時だという事である。


 しかしながらあんな事件なんかそうそう起こるはずもなく、そして起こったとしても私が人質にならなければならないのである。


 それがどれだけ低い確率なのかと、そして良く私はその低い確率に今まで遭遇したなと思ってしまう。


 しかし逆に考えてみれば私と黒の仮面の君との関係が運命で決まっているのだとすれば私が今まで遭遇した事件はたまたまではなくて必然だったのではないか? いや、そうに違いない。


 という事は、近いうちに私はまた何かしらの事件に巻き込まれるのではなかろうか?


「どうしたスフィア? 悩み事ならば俺に相談してみてはどうだ?」

「は? 無理。 鏡見てから現実を一回確認した上で寝言は寝てから言ってください」

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