子作り記念日
なぜだろう。 室内なのに雨が降ってきやがる。
どうやら俺は奴隷たちの間ではこと恋愛ごとに関してはポンコツであると思われているらしい。
その初めて知った真実に今日は明け方まで大雨により枕を濡らすことになりそうだと、脳内の天気予報が教えてくれる。
「……分かった。 ブリジットだけではなくカレンドールとモーリーも学園を卒業したら子作りしようか……」
知りたくなかった真実により想像以上に心を抉られて傷心した俺には未来のことなんて考える余裕など無く、取り敢えずご主人様としての威厳を守る為に唐変木ではないという所を見せなければという思考だけで学園を卒業したらカレンドールとモーリーとも子作りする事を約束してしまう。
言った瞬間に『やってしまったかなー?」と思ってしまうのだが今は兎に角ご主人様としての威厳を守る事が先決であり、将来の事は将来の自分へとぶん投げてしまえば良いだろう。
きっと将来の俺は優秀だからどうにかこうにかしてなんやかんやで上手いことやってくれているに違いない。
なんとなく将来の俺から『やめろぉぉぉぉぉおおっ!! 毎日毎晩搾り取られるぞっ!! あいつらの体力と性欲を甘く見るんじゃぁないっ!! そもそも一人に対して複数相手するだけでも、それが毎晩となるとどうなるかぐらい少しは考えるんだっ!! 今すぐ訂正しろぉぉぉぉおおおっ!!』と言う絶叫が時空を超えて聞こえて来ている気がするのだがきっと気のせいだろう。
だというのに未だに頭の中で『それと、ブリジット、カレンドール、モーリーの三人だけだと思ったら大間違いだぞっ!! 三人身籠ってからが本当の戦いが始まるんだぞっ!! もう出尽くしたと言っても回復魔術で強制的に回復させられて有無を言わさず襲われるんだぞっ!! だから今すぐにさっき言った言葉を訂正するんだぁぁぁああ』などと、まるで某界○拳を三倍以上使おうとした悟○に対して必死に止めさせようと叫んでいる時の○王様のようなテンションで語りかけてくるのだが良い加減うるさいのでシャットアウトする。
「ちょっとっ!? みんな子作りするって事は、それならば私だけご褒美何も貰ってないことになるじゃないですかっ!! でしたら私もカレンドール同様にぎゅっと抱きしめて欲しいですっ!!」
「わ、分かった……」
そしてこの日、ブラックローズの間では『子作り記念日』として毎年祝われるのだが、その事を知るのはもう少し先の話であると共に、今日の俺を殴ってでも止めさせたいと強く後悔するのであった。