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有名な話

 そして三人で考えた作戦なのだが、どうせカイザル様は鈍感の唐変木だから遠回しで察して貰うのを待っていたら、そういう行為にいたるまで何年経ってしまうか分からないのでここはもう実力行使、寝込みを襲うという方法で満場一致になった。


 普段であればカイザル様は察しはいいし知識も豊富で頭の回転も速いのにも関わらず、こと恋愛ごととなると嘘のようにダメダメになるのは最早私たちだけではなくブラックローズの間では有名な話である。


「さぁ、行きましょうっ!!」

「こ、ここまで来たのならば攻めるだけだものっ! 頑張るのよ、私っ!」

「今日は解像度の高い映像魔術具を持ってきましたっ!!」

「「そ、それは置いていきなさいっ!!」


 そして私たち三人はカイザル様が眠っている部屋へ続く道を歩き始める。


「どこへ行こうというのですか?」


 そんな時、自称筆頭奴隷のサラさんが私たちの前に現れ、これからどこへ行くのかと聞いてくるではないか。


 そして、そのサラさんの後ろにはカイザル様の側近に選ばれた五名が真剣な表情で控えており『返答によっては、お分かりですよね?』と無言で訴えてきているのが読み取れる。


 その光景に、悪い事をしようとしているのはこちらな為、後ろめたさも相まって一瞬だけ怯んでしまうのだが、ここで怯んでしまっては一生無理だと自分を奮い立たせてサラさんの目を『キッ』と睨み返す。


「この廊下の先へ私達がこの虫達も寝静まった深夜に向かう理由なんて一つしかないでしょう? むしろ他に何があるというのですか? 今からカイザル様の寝込みを襲いに行くんんですが?」

「いえ、その言葉を聞けて安心いたしました。 必ず最後まで、絶対に一線を越えてください」


 そして私は今からカイザル様に夜這いをするのだという事を誤魔化さずにストレートに伝えるのだが、サラさんは私の予想とは違い夜這いを成功してほしいと言ってくるではないか。


 その表情からは冗談ではなく本気で言っていることが分かるのだが、逆に夜這いを止められると思っていた私からすれば何故サラさんが私たちの夜這いを肯定しているのかが全く理解できない。


「え? ……私たちの夜這いを阻止するためにわざわざここに来て私たちの前に立っているのじゃないのですか?」

「そうね、カイザル様ってなぜかそういう行為に対しては一歩引いているじゃない? なんなら三歩、いや五歩程引いているのは感じますよね?」

「確かにそうですね。 だからこそ私たちはこれから夜這いをかけに行くのですが、それと私たちの夜這いを肯定するのとどう繋がるのでしょうか?

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