一人死人が出るところだった
「むむ……確かに、それは物凄く魅力的です」
「逆に、このまま何も対策をしなかった場合はより一層カイザル様と過ごす時間が少なくなってしまうのは少し考えたら想像できるでしょうに。 今は同じ学園に通っているからこそまだ私たちにはカイザル様と接点はありますが、もし卒業したらどうなるか少しは考えてみなさいよ」
「や、ヤバいかも……、どうしようっ!? ブリジットっ!? カレンドールっ!?」
そこまで説明してようやっと事の重大さに気づいたモーリーは顔を真っ青にして私とカレンドールへと泣きついてきた。
いくら第二夫人、または第三夫人になれるポジションであるとしてもカイザル様が奴隷達を愛人として囲い始めれば間違いなく私達と接する時間がなくなるだけではなく、それは同時に夜の営みも減ってしまうという事でもあり子供も授かる確率がグッと減るのである。
その近い将来、私たちが卒業したらくるであろう将来を予想したのだろう。
そして、想像した結果モーリーは私たちに泣きついて来たのである。
そもそもモーリーは普段から女っ気がないのだが、特にここ最近は酷く休日はお風呂にも入らないというレベルにまでなってしまっている。
そんな状態で考察するカイザル様との未来はさぞ泣きつきたくなる未来だったのだろう。
だが、これで今の現状を正しく把握できたようで何よりである。
「ま、まぁ……確かにこのままではどう考えてもヤバいわね……」
「何か、何か方法は無いんですか?」
「ぶっちゃけモーリーに関しては自業自得のような気もするのですが、それでも私やカレンドールの影が薄くなったのは事実ですし……」
「え? 身体的特徴なら私ブリジットさんよりも……いえ、なんでもないです」
危ない。
一人死人が出るところだった。
「それで、私達をわざわざ呼んだということは、当然何か策があるという事でいいかしら?」
そんな私達を見てカレンドールがため息をつきながら聞いてくる。
「流石カレンドールね。 察しがいい。 当然完璧な作戦を考えて来たから誉め讃えなさいっ!!」
「ははぁー、ブリジット様ぁーっ」
「何をやってんのよ、まったく。 それで、作戦って何かしら?」
「それは……」
「そ、それは……っ!?」
「もったいぶらないで早く言いなさいよ」
本当、カレンドールは真面目なんだから。
「そう急かさなくても良いじゃないですか。 そう、私の考えてきた作戦は『ドキドキッ!! 同級生三人の美女から夜這いかけられちゃったッ!! これはもう辛抱たまらんッ!! ここで襲わなければ男じゃないっ!!』大作戦よっ!!」




