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もはや私にとてはどうでもいい存在

 しかしながらやはりご主人様の知識の広さと深さはやはりすごいと感心してしまう。


 誰がふくらはぎを蹴れば、蹴られた足は麻痺して使い物にならなくなると思うだろうか。


 そしてなぜご主人様はそんな事まで知っているのか? とは思うもののその答えは『ご主人様だから』で全てが説明できる。


 ご主人様なのだから仕方がないし、できて当たり前なのである。


 しかし、ゼンもお姉ちゃんも、私が想像していたよりも余りにも弱すぎる。


 どうやら知らず知らずのうちに過大評価してしまっていたようである。


 それ程までに、この集落で過ごした日々は私にとって地獄だったのだ。


 そして、もしご主人様に拾って頂けなければ今私がこの集落でお姉ちゃんをボコボコしできるという未来も訪れなかっただろう。


 本当に、ご主人様には感謝している。


 この手で復讐できるのだから、これほど嬉しい事はない。


 そんな事を思いながらご主人様に感謝しつつ、未だ痺れているのであろう右足を引きずっているお姉ちゃんへと歩きながら近づいていく。


 するとお姉ちゃんは恐怖の表情を私に向けながら私が一歩近づくと二歩、二歩近づくと四歩下がるではないか。


「あれ? お姉ちゃんビビってるの?」

「そ、そんな訳ねぇだろっ!!」

「でも後退りしているよね?」

「ぐぬっ……」


 私の挑発に乗りかけたのだが、寸前のところでお姉ちゃんは我慢できたみたいである。


 私が近づくとそれ以上に後退するのも、私の挑発に乗らないのも、勿論私に恐怖心を抱いているというのもあるのだが、だからこそお姉ちゃんは自分では敵わないと判断して時間を稼いでいるのだろう。


 私には敵わないと判断する事はお姉ちゃんにとっては苦渋の決断であったのだろうが、それよりも私が蹂躙される方を選んだのだ。


 その瞬間私の中のお姉ちゃんは復讐したい相手ですらなくなり、ただ私にこれから噛みつこうとしてくる有象無象の一人へと成り下がった。


 プライドを捨てた時点でもはや私にとてはどうでもいい存在でしかない。


「そうやって偉そうにしていられるのも今のうちだけだぜっ!! 死にさらせっ! バァァァァカッ!! あんたは私に騙されたんだよっ!!」

「武術系スキル【餓狼一閃】」

「今更泣いて謝ってももう遅せぇん──は?」


 そもそもセンスだけで戦ってきたお姉ちゃんがいきなり連携プレイをした所で演技も何もかもが下手すぎて、私の後ろで集落の住人達が束で襲って来ようと、私の隙を虎視眈々と狙っており、お姉ちゃんがその隙を生み出す為に私の挑発にも耐えながら時間稼ぎをしていた事などお見通しである。

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