なんと情けない事か
そしてやはりというかなんというか、怒りの沸点はお姉ちゃんも低かったようで怒りに任せて攻撃をしてくる。
しかしその攻撃は怒りの感情のまま攻撃して来ている為姉の婚約者であるゼンと同様に直線的かつ大ぶりのため簡単に見切る事ができ避けれてしまう。
勿論遅すぎるというのもあるのだが、私からすればゼンもお姉ちゃんも自分の感情をコントロールできていない時点で出直して来いと言いたくなるレベルである。
そして、私はお姉ちゃんのお腹を耐えられるであろうギリギリの力加減で殴る。
ゼンみたいにたった一撃で沈んでしまっては面白くないのでお姉ちゃんには徹底的に、今まで馬鹿にしていた妹にはどう足掻いても勝てないという事をその身体に刻み付ける事ができるまでは失神しないようにちゃんとお姉ちゃんの反応を見ながら攻撃していくつもりである。
因みにゼンは今気絶しながら股間から黄色い液体を漏らしており、ここまで醜態を晒してしまっては最早彼には兄と同様にこの集落では生きていけないだろう。
私が去った後もこの集落が残っていればの話なのだが。
「うぐぅっ!?」
「あれ? 妹の攻撃、それもたった一発で倒れるなんて事、まさか無いよね?」
「馬鹿にしやがって……」
そしてお姉ちゃんは再度殴りかかってくるのだが、やはり先ほどと同ように攻撃は直線的で簡単に避けれる上に、私の攻撃のダメージが抜けていないのかただでさえ遅いスピードが下がっているではないか。
そもそもいくら攻撃がブラックローズのメンバーくらいのスピードで出せたとしても格闘技なんか習っていない素人の攻撃なんか当たる訳がない。
所詮はこの集落で強いと言っても白狼族の身体能力に胡座を描いて武術など習ってこなかった、ただ喧嘩が強いだけの素人程度でしかないというのが、今回ゼンとお姉ちゃんを見て確信に変わる。
そしてその素人がこの村ではチヤホヤされるレベルなのだからその程度だったという訳である。
そんな事を思いながら私はお姉ちゃんの攻撃を避けながら、内太腿にローキックを軽く入れていくのだが、お姉ちゃんからすれば激痛だったらしくたった四発目で崩れ落ちてしまうではないか。
なんと情けない事か。
それでもまだ闘志は衰えてないのか私に向かって怒りの篭った目で睨みつけながら再度立ちあがてくるのは流石と言えるのだが、だからと言って手を緩める訳もなく、今度はトドメとばかりに少し強めにカーフキックを右脚ふくらはぎに当ててやると足が麻痺したのか今度こそまともに立てなくなったみたいである。
お姉ちゃんは必死に立ち上がるものの右足はふにゃふにゃだ。