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これ程愉快な事もあるまい

 そして、帝国へ戦争を仕掛けるのはもう少しだけ様子を見てからにするという事で話が纏まりかけたその時、我々以外入る事ができない部屋に見知らぬメイドがいるではないか。


 しかもそのメイドは奴隷紋が右頬に浮き出ている事からも誰かが使役している奴隷である事が見てわかる。


 メイドという立場も奴隷という立場も同じく誰かに使役される立場であり、しかも目の前の彼女はその両方であるにも関わらず我々に対して、まるで見下すような視線で我々の作戦が全て筒抜けであり成功しないと、国王陛下の前であるというのに敬意のかけらも無い口調で話すではないか。


 どうやってこの部屋に入って来たのかは分からないのだが、むしろ逆にこの部屋に入って来たことが彼女にとって裏目に出た事となる。


 わざわざ姿を見せずに、我々が会議を終えていなくなるのをじっと待っていれば良かったものを。


 いつでも逃げられるという自信があるのかもしれないが、その自信が自らの首を絞めているのだからこれ程愉快な事もあるまい。


 その自信満々な態度が一体どの段階で崩れてしまうのか今から楽しみで仕方がないと思ってしまうのだが、そう思っているのは俺だけでないようである。


 周囲を見渡せばやはり、皆俺と同じ答えに辿り着いたようで、これからプライドが高い犬を調教でき、犬のプライドが粉々に砕け散る様を見れるのだという表情をしている。


「君が言うブラック・ローズという組織は聞いた事がないのだが、所詮は我々の耳に届かないような組織なのだろう。 そんな無名組織の一員である君がここに侵入できた事は素直に褒めよう。 しかしながら、君はここまで堂々と我々の前に現れる事ができる程には逃げる事が得意のようなのだが、この部屋は入る事はできても出る事は国王陛下がこの部屋に居る限り国王陛下の許可が無いと出れない仕組みになっているのだよ。 そう、その理由は万が一君のようなネズミを見つけた時の為にね」


 前回の仲間に扮して侵入して来たネズミは国王の許可がないと出れないという事を知った瞬間に絶望に染まった表情を見せてくれたのが、君はどんな表情を我々に見せてくれるのだろうか。 


「ふーん。 それで、それは君たちにも同じって事でいいっすかね?」

「あ、当たり前だろうっ。 俺たちにも裏切り者がいないとも限らないしクーデターを起こそうとしている不届き者もいるかもしれないのだからな」


 しかし彼女は俺の話を聞いたにも関わらず絶望した表情になる事も無く、逆に俺たちもここから国王の許可が無いと逃げれないのかと聞いてくるではないか。




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