キモ……
そう言うとドラゴノイドの奴隷メイドは翼を広げて飛び去ってしまう。
それからどのくらい突っ立ていたのだろうか。
気がつけば辺りは夕焼けに染まり、遠くの方からパーティーメンバー達が俺の名前を叫ぶ声が聞こえて来る。
「リーダーっ!! 大丈夫ですかって、うぉわっ!? ま、ままままままままっ、まさかここここここれ、この恐鳥はリーダーが倒したんですかっ!?」
「うわっ、凄いな。 流石俺たちのリーダーだ」
「これ勿論パーティーで山分けよねっ!!」
そして俺の元へと駆け寄ってくると、血溜まりの中に倒れている恐鳥が目に入ってきたのだろう。
各々その恐鳥を見た瞬間に驚愕しているのが見てわかるのだが、最後に発言した者は人として今一度教育的指導が必要なのかもしれない。
「いや、この恐鳥を倒したのは俺ではない。 誰かが使役している奴隷が一人で、それもたったの一撃で寸分の狂いもなく頭の中心を撃ち抜いて倒したんだよ」
「は? 奴隷? 嘘でしょ? そんな強さならば単独でSSSランクじゃないのよ。 そんなの帝国の宮廷魔術師団長や帝国騎士団団長よりも強いって事じゃないっ。 そんな強者が何で奴隷に落ちてるのよっ!? そしてそのレベルの化け物を買える事ができる人物って何者よっ!? それこそ一国の王でも買えない可能性だってあるわっ! てかそもそも単独でSSSランクレベルとか普通に考えてあり得ないんだけどっ!? 嘘じゃ無いでしょうねっ!?」
「いや、もし俺の話が嘘になると逆に俺が一人でこの恐鳥を頭への一撃で倒した単独SSSレベルになるんだが?」
「…………だったらリーダーの話は間違いないねっ! だってリーダーが単独で恐鳥を一撃で倒せるわけないものっ!! もしそうだとしたら裸で町内を練り歩いても良いわっ!!」
うん、街に戻ったら覚えておけよ。
「それで、リーダーが言う奴隷の特徴は他に無いのですか?」
「奴隷紋ではなくて隷属の首輪だった」
「……はい?」
「しかもメイドさんだった」
「…………はい?」
「さらにおっぱいの大きい、美しいドラゴノイドだったっ!! ドラゴノイドでおっぱいの大きなメイドさんで隷属の首輪だったんだっ!! そこには男性の夢が詰まっていた!! きっとあのメイドの所有者とはソウルメイトになれる自信があるっ!!」
何故だろう。 パーティメンバーがドン引きしているように思えるのだが。
「キモ……」
誰が呟いたのか分からないのだが、その一言は俺の心の奥深くまで突き刺さるのであった。
◆
ここ最近はもう奴隷達の好きなようにさせようと開き直っていたのだが、俺はその事を激しく後悔していた。
いや、気づいていたのだが気付かないふりをして問題から目を背けていたとも言う。
どう考えても文明レベルが百年は進んでいるのはきっと気のせいでは無いだろう。
というか銃と魔弓を融合させた武器とか、あれは前世でも普通に通用するかなりヤバい武器になっている気がするんだが……。
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祝200話っ∩^ω^∩頑張った