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情状酌量の余地なし

 そして俺も当然マップ上の赤い点を追いかけ、敵が予め用意していたであろうワイバーンに乗る寸前で、ワイバーンに向かって音と光だけが出る魔術を行使して威嚇し、逃がす。


「いたいけな女性を抱えて、どこへ行こうというのかね?」


 そしてかの有名な大佐の様な態度と言葉を投げかけながら三名のならず者達へと歩きながら近づいていく。


 歩きながら近づく理由は、やはり余裕を見せてゆっくりと動いた方がカッコイイからの一言に尽きる。


 それにしてもこのならず者達がまさかワイバーンを使役できる程の組織であったとは、それほどまでに人身売買で今まで稼いできたであろう事が伺える。


 まったく、反吐がでるとはこの事だ。


 以前までの俺も屑であった事は間違いないのだが、だからと言って所詮は金持ちのボンボンが考える悪戯の範疇を超える事はなかった。


 何だかんだで許される範囲ギリギリで悪さをしているあたり俺は周囲に甘えていたのだろうと今ならわかる。


 そして今の俺はたった一人の人間の未来を潰した事の罪悪感に悩まされる小さな人間でもある。


 しかし奴らは、奴らが行った行為の数だけ人の未来が潰されていても何も感じない、むしろ売り払った金額の方が奴ら的には価値が高い為、また同じように女子供を攫うという事を、ワイバーンを使役できる程になるまで繰り返してきたのであろう。


 情状酌量の余地なし、という言葉が俺の頭の中に浮かんでくる。


「だ、誰だお前っ!?」

「そう言われて答えるバカがどこにいる?」


 せっかくスフィアにバレないようにストレージから黒い衣装と黒い鬼の仮面を付けているのに答えてしまっては姿を隠している意味がないではないか。


「それもそうだな。 それにお前が誰かなんてどうでも良い事だ。捕まえて魔術で強引にお前の正体と所属している賊のグループを特定して他人の縄張りへ土足で入り、更に仕事の邪魔だけでなくワイバーンを逃がしたツケをを払ってもらえばいいだけだからな」


 三人の中の、スフィアを担いでいるリーダー格であろう男性が喋り、その間に二人がリーダー格を守るように前に出て短剣を抜き俺へ向ける。


 明確な指示を出さずとも動作一つで意思疎通ができている事だけは心の中で称賛を送っておいてやろう。


 口では大層な事を言ってはいたが、時間を稼ぎ逃げる算段をしていたのだろう。


 その事がマップの色が赤(攻撃色)から黄色(逃亡色)へと変化した事からも窺える事ができる。


「……ヤレッブヘアッ!?」

「アガッ!?」

「ゴヒョッ!?」

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