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全てが意味が分からない

 一体何が起こったのか分からない。


 理解できることは雷鳴が轟いたかと思った次の瞬間目の前の恐鳥が倒れて、それと同時にメイドが現れたくらいである。


 それが分かった所で恐らくこのメイドが何かをやった結果、恐鳥が倒れたのだろうくらいしか分からない。


 何かの魔術をこのメイドが放った結果、目の前の恐鳥を倒したのかとも思ったのだが、そもそも魔術耐性があるこの恐鳥をただ倒すのではなく、頭に風穴を開けるまでの威力の魔術となると頭だけではなくここら一体が消え去ってしまう程の威力でないとできないはずである。


 にも関わらず、見事に恐鳥の頭だけ綺麗に風穴を開けているではないか。


 こんな芸当を、目の前のメイドがやってのけたというのか。


 にわかには信じられないし、他のメンバーや知り合いにこの事を話した所で誰も信じてくれないだろう。


「どうしたんだい? 固まって。 まぁ、死ぬ寸前だったんだ。 死を覚悟していたにも関わらずこうして生き永らえたんだ。 呆けてしまうのも分かるのだがせめて大丈夫かどうかの返事くらいはしてほしいもんだ。 でもまぁ、返事をしてくれないのならば君の意思に関係なく僕が勝手に回復魔術をかけさせて貰うとするよ」

「ど、ドラゴノイド?」

「お、やっと喋ったと思ったら僕の種族の事かい? そう、君の言う通り僕はドラゴノイドだねぇ」


 そして自分の事をドラゴノイドであるというメイドは、喋りながら回復魔術を俺にかけてくるではないか。


「そ、そうか……いや、なんで喋りながら魔術を使えるんだっ!? あとドラゴノイドがメイド、しかも首にある首輪に記された模様を見るに奴隷だとでも言うのかっ!? 全くもって意味が分からない。 むしろいっそ全てが夢だと言われて方がまだ理解できるくらいだっ!!」

「喋り始めたかと思ったら、今まで無口だったのが嘘のように今度は一気に喋り始めたりと、君も忙しいね」

「当たり前だろうっ!! さっきから俺の常識が覆されて、こんがらがっている状態でまた常識を覆されるという連続なんだからっ!!」


 そもそも恐鳥を倒したあの技も意味が分からなければあのドラゴノイドが奴隷というのも意味が分からないし、無詠唱で魔術を扱うのも意味が分からない。


 全てだ。


 この目の前の、紅色に輝くショートカットの美しいドラゴノイドの女性の存在、その全てが意味が分からない。


 今までの事全て夢だと言われた方がまだ信じられる程である。


「しかしながら君は、助けてもらった相手に感謝の言葉一つもないのかね」

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