両親と一緒に行動はしない
『ハッ、人間如きがドラゴンである私に一体何ができるというのよ。 あんまり調子に乗って舐めた態度を改めないのならば殺すわよ。 それが嫌ならば今すぐに土下座して私たちに今までの無礼を謝ってちょうだい』
しかしながらこの赤い鱗を持ったファルールは、自らの両親の態度を見て何も思うところが無いのかなおも俺に挑発してくる。
それはまるで厨二病特有の、何者にもなれる根拠のない万能感的な何かなのだろう。
彼女? の今までの態度や親への跳ねっ返り具合を見るに、これから反抗期に入るといった感じにも見えるのでもしかしたら厨二病の初期症状が現れているのかもしれない。
こういう時は大人が何を言っても聞く耳は持たないのだが、でもそれがもし力の差を見せつけれる、スポーツでもなんでも兎に角そのようなツールがあり、そのツールに圧倒的自信があるモノだとしたら、そのツールを使って、その鼻が伸び切る前にポッキリと折ってやり現実を見せつけるが効果的だろう。
調子に乗り切ってからは変なプライドがついてしまったせいで、そのプライドが逆に邪魔をして素直に受け入れられない可能性が高いので実に良い時期であるとも思う。
そもそもガッツリ思春期に入ってしまって知るのならば、間違いなく両親と一緒に行動はしない。
それが思春期というモノである。
「頭が高い。 『闇魔術段位六:重力操作』」
『それはアンタの方ぅっ!?』
そして俺は大人気ないと思うのだが、むしろ圧倒的な力の差を見せつけるため手加減なしの魔術をブッ放す。
行使した魔術は『闇魔術段位六:重力操作』である。
この重力操作という魔術なのだが、仲間にかかる重力を軽くして飛ぶように動けるようにしたり、相手にかかる重力を重くして動きを鈍らせたりとバフにもデバフにもなる非常に使い勝手の良い魔術でもある。
ちなみにバフとして使ってもデバフとして使っても上位互換魔術はあるのだが、両方の性質を持つ魔術は他になく、臨機応変に使えて腐りにくいというのがこの魔術最大の利点である。
そんな『闇魔術段位六:重力操作』を、デバフの方へ振り切ってファルールへと行使する。
すると先程まで偉そうに見下しながら煽ってきていたファルールは、急に増加した重力に耐えきれず、まるで俺の前で這いつくばるような格好となるではないか。
『ぐぬぬぬっ!!』
普通ならば立つ事もままならないであろう重力で押さえつけられているのだが、それよりも俺に見下される(と思っているのだろう)方が耐えられないのか強引に立ち上がると一気に俺から距離を取る。