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それとこれとは話が別

 そもそもドラゴン同士のヒソヒソ話など、俺たちにとって全然ヒソヒソ出来ていないわけで。


『わ、我がご主人様よっ!! 呼ばれてもいないのにいきなり訪れた事をまずは謝罪させてほしいっ!!』


 そして、そのことをこのドラゴン(おそらく家族であろう)達に教えてあげた方が良いのだろうか? と考えていると、俺と契約している黒い鱗が美しいドラゴンのファフニールが五体投地をして謝罪の意を示す。


 何だろうか、社長宅に家族の我儘によりアポなしで訪れざるを得なくなった中年パパさんの姿が俺の頭の中のファフニールのイメージとして浮かんでしまう。


 嫁どころか娘にまで尻に敷かれて大変そうだと思うのと同時に、俺の中のドラゴンのイメージがファフニールとの契約時でただでさえ格好いいイメージが木端微塵に砕け散ったのに、ここから更にすり鉢によってサラサラの、粒子の細かな砂状になるまで擦り砕かれてしまったではないか。


 それは同時に俺の中のドラゴンが死んだのと最早同じである。


 所詮はドラゴンなど空想上の生き物だったんだ。


「いやまぁ、報告、特に皇帝陛下に報告してくれれば帝国国民や皇族に貴族もここまでパニックにならなかっただろうし、次からはちゃんと報告してくれればそれで良いから」

『な、なんと寛大な処置っ!! 有難うございますっ! 有難うございますっ!!』

『ちょっとお父さん恥ずかしいから止めてよっ!! しかもこんな劣等種の人間如きにっ!!」

『おいぃぃぃいいいいいいっ!! お願いだから少し黙ってくれないか娘よっ!! ここに来るときにちゃんとお父さんの言うことは守ると約束したではないかっ!?』

『それとこれとは話が別よっ!! 何で人間なんかにそんな下手な態度を取らなきゃいけないのよっ!?』

『そうですよお父さん。 私の旦那様ならば人間相手にそんな態度は取らないでしょうだい、みっともないわ。 それに、娘にも悪影響ですよ』

『ヒィィィィィィイイイイイッ!? すみませんすみません妻と娘には悪気はないのですっ!! 私が言える立場ではないのですが、後で私の方から言い聞かせますし、やはりそこは家族でございます。 どうか寛大な心でお許しをっ!!』


 もしファフニールが人間の中年男性なら顔を真っ青にしながら髪の毛が一気に抜け落ちてそうな勢いで俺に自分の家族達の無礼な行いを許して欲しいと必死になって社長にお願いしている姿が容易に想像できる。


 実際にボロボロと鱗が落ちているのを見るに、あながち間違っていないだろう。


 てか、鱗剥がれて痛くないのだろうか?

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