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殴ってんだよなぁ……

 そして俺はブリジットの方へ視線を移すと、それはそれはとても嬉しそうな表情をしていた。


 その表情はまるで『やっとこいつに嫌いだと心の底から言える事ができる』という表情であるのだが、そのブリジットの表情を見たクロード殿下は、あれ程俺にボコられたに関わらずまるで勝利したかのような、決闘を始める前の『勝って当たり前』というような自信に満ち溢れた表情で俺を見つめてくる。


「さぁ、ブリジットよっ!! 言ってくれないかっ!? この俺に助けて欲しいとっ!!」


 さらにクロード殿下は調子に乗り始めて、ブリジットへ語りかける。


 それはまるで魔王に囚われた姫を助けに来た勇者かのような雰囲気であり、実際にそのような立場であると勘違いして酔っているのが丸分かりである。


 そして、その自称勇者のヒロイン役に抜擢されているブリジットはというと、まるで苦虫を噛み潰したかの如く顔を歪ませており、今すぐにもぶん殴りたいのを必死に我慢しているだろう事が痛いほど伝わってくる。


「さっきからうるさいんですよ……」

「……そ、そうだよなっ! カイザルの奴がうるさかったよなっ!!」

「うるさいのはクロード殿下ですっ!! 前回の決闘でなんで私が洗脳も何もされていないと思えなかったのですかっ!! そもそもカイザル様は私達奴隷に対して殆ど命令はしたことがない上に、命令する時は基本的に私達の命に関わる時だけですっ!! 何ならもっと命令して、犬の様に扱っていただきたいのにっ!」


 そしてブリジットはクロード殿下に命令された内容である本心を暴露し始めるのだが、何だか雲行きが怪しくなって来たように思えるのは気のせいだろうか? 


 ブリジットよ、ご主人様はここら辺で終わってくれたら忠犬として褒め称えてあげるのになぁー。 と、思うものの、俺の願いも虚しくさらにブリジットはヒートアップして喋り続ける。


 何だろう、クロード殿下に対するブリジットの気持ちを述べた時点でクロード殿下が命じた命令の範囲は超えていると思うので、もう喋る必要はないし、自分の意志で止める事ができる事に気付けていないのだろうか?


「そもそも、何でこんなに日々私はカイザル様の犬になりたいとアピールをしているのに、カイザル様は私を犬扱いしてくれないんですかっ!! 私の事が嫌いなんですかっ!?」


 そして、ブリジットの怒りの矛先はクロード殿下から俺へと向けられるではないか。 解せぬ。


「いや、嫌いではないぞ。 うん。 ちゃんと人として好きだし大切だと思っているよ」

「だったら態度で示してくださいっ! カイザル様っ!」

「ああ、いいぞ。 頭を撫でて欲しいとか、好きなものを買って欲しいだとかか?」

「違いますっ!! 私の首輪にリードをつけて、散歩をしてくださいっ!!」

「おいブリジットっ! お前どうしてしまったんだよっ!? これではただの頭のおかしな変態ではないかっ!? カイザルに何かされグボホッ!?」

「今いいところですのでゴミは黙っててくださいっ!! 殴りますよっ!?」


 殴ってんだよなぁ……。


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― 新着の感想 ―
[一言] 確かにブリジットさんはおかしい変態に成ったのは事実です(笑) カイザルさん、余計なお世話は逆効果だと思いますw
[良い点] お疲れさまでした。 女の子の理不尽さは、男にはどこの世界でも理解できない領域なのです(笑)
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