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選ばれしバカ

「ま、まぁそれなら、精霊契約を……いや、だがこの俺に黙って勝手にやった事はやはり──」

「審判」

「──この俺を舐めているとしか……はい? 審判?」

「そうです。 審判です、クロード殿下。 今ドラゴンが三体もこちらに向かっているようでで、誰もいない状況でございます。 それは、当初俺を辱めるように集める算段であった観客は集まらず、クロード殿下がこの俺を倒してブリジットをこの俺から解放し、さらに俺の悪事を観客の前で暴くと言う、無い頭で必死に考えたであろう──」

「無い頭だとっ!?」

「──失礼しました。 きっと聞き間違いですので落ち着いてください。 とにかく、殿下の勇姿と俺の見窄らしい姿を見せる事ができないだけではなく、当然人が居ないのだから審判もおりません」


 そして俺がそこまで言うと、ようやっと落ち着いたのかクロード殿下は目線で話を続けろと訴えかけてくる。


 ここまで説明すればほぼ俺が言いたい事の九割は言ってしまっている為、話の続きを促さずとも『自分で考えろバカ』と言ってしまいそうになるのをグッと堪える。


 そもそも俺はここで殿下が俺の言いたい事に気づいてくれると判断したからこそ話を最後まで言わずに止めたのだが、俺が想像していた以上に殿下の頭の中身は残念な作りであったみたいである。


 まさか俺も、バカだバカだと思っていたのだがここまでバカだとは思わなかった。


 これに関してはクロード殿下の馬鹿さ加減に気づけなかった俺のミスである。


 すまない、クロード殿下。


「よく分からないのだが、お前今俺の事をもの凄くバカにしてはいないか?」

「いえいえ滅相もございません。 皇族であり、未来の皇帝である殿下をバカにするわけが無いではないですか」

「なら良いが……」


 一瞬バカ特有の野生の勘の鋭さを発揮するもののそこはやはり選ばれしバカ。 簡単に騙すことができた。


「それで、話を戻しますが、当然人がおりませんので審判をする者もおりません。 よって、殿下の手を煩わせる訳にいかないのでこの俺があらかじめ精霊魔法で契約していたと言うわけでございます」

「ほう、お前にしては気が効くでは、ボグヘアッ!?」


 そして、クロード殿下は簡単に信じてくれたらしいので、まだ喋っている途中なのだがお構いなしにぶん殴ってやる。


 そもそも精霊契約をし終わった時点で戦いは始まっているのだ。


 それをここまで待ってあげただけでも感謝してほしいものである。


「き、貴様ぁぁぁあああああっ!! よくもやりやがったなっ!! 反則っ!! 違反行為だろっ!! 精霊契約による違反行為のペナルティーを受けるが良いっぎゃぼへあっ!?」


 うん、相変わらず汚い鳴き声である。

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