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これは女の戦いなのだから

 圧倒的な強さを持ちながら驕らず、そして悪を倒し弱者を救うも、決して見返りは求めはしない。


 まさに私の求める理想的な貴族そのものではないか。


 そして、私は黒衣の男性がつけている漆黒の仮面を見て気づく。


 その仮面はスフィアが窮地から助けてくれた仮面の君という人物を描き始めた姿にそっくりなのである。


 初めこそスフィアの妄想だと思っていた。


「ごめんスフィア」


 そして思わず私はスフィアへの謝罪の言葉が無意識に出てしまう。


 これは勿論今まで疑って来た事への謝罪という意味も含まれているのだが、仮面の君の絵を自ら描いてしまう程スフィアの想い人であると知っているのに、私の中で生まれた感情を制御できないという意味の方が大きい。


 しかも、スフィアはまだ仮面の君の正体を知らないのだから尚更騙しているみたいで、思わず謝罪の言葉が口に出てしまう程の罪悪感を感じてしまっている自分がいる。


 それでも、私はこの感情を知ってしまったのだからどうしようもない。


 こればかりはスフィアは私の敵であり、敵である以上情けは無用。


 情報戦ではブリジットに一歩遅れをとってしまった形になってしまったのだが、だからこそ私はスフィアにこの事を教える事はないだろう。


 これは女の戦いなのだから。


「それとカレンドール」

「は、はい。 なんでしょうか? カイザル様」

「……人違いだ。 いいか? 俺はカイザルという人物などでないし、そんな奴の事など知らない。 分かったな?」

「はい、分かりました」

「う、うむ。 分かってくれたのならばそれで良い」


 仮面の君の正体はやはりカイザル様であるという事が、分かりました。


「それと、そこに転がっているお前の兄なんだが、このままでは凍傷などで指が壊死する可能性もあるからこの回復薬を起きたら飲ましておけ」


 そして、カイザル様はそう言うと、そそくさとこの場から去っていく。


 もう少しだけここにいても良いのに。


 そして、カイザル様が居なくなったと言うことは即ち、あのクズの処理を任されたと言う事でもあるのだろう。


 そう判断した私は闇ギルドマスターであるベルムードを裁きに行こうと視線をベルムードが居たであろう場所に向けるのだが、そこにはベルムードの姿は無かった。


「流石闇ギルドのマスターまで上り詰めてだけはあると言うべきか……」


 しかしながら生き延びたところでどうなると言うのか。


 カイザル様に出会った瞬間、彼の人生は終わったのだと、この私ですら理解できると言うのに。


 であればこそ、最後は綺麗に終わらせようと思うのは、貴族的な考えなのかもしれない。


 そして私は、お兄様が目覚めたら以前カイザル様の事を何か知ってそうな事を言っていたので洗いざらい(物理で)聞き出そうと思うのであった。


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