表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/265

豹変する

「お兄様、少しお聞きしたい事が……」


 そして私はノックをしてお兄様の部屋に入るのだが、そこには何かの薬を飲んでいるお兄様の姿がそこにあった。


「お、お兄様……その薬は……?」


 まさかお兄様が、とは思うものの、嫌な胸騒ぎが消えて無くならない。


「あぁ、これかい? これは闇ギルドから譲ってもらった魔力を一時的に増幅してくれる薬なんだよ」


 そしてお兄様は、なんの悪気も無いような、むしろ私に自慢するようにその薬の効能を喋り始めるではないか。


 目の前で今私に向かって話している人間は誰なのだろう?


 本気でそんな事を考えしまう。


 あのお兄様が……あんな物を飲む意味がわからない。


 それこそ、目の前の人物が本当にお兄様かどうか分からなくなってしまうくらいにお兄様とあの薬が私の中で結び付かない。


「ど、どうしてそんな物をお兄様が……」

「そんな物? そんな物だとっ!?」

「お、お兄様……?」


 そして私がなぜお兄様がその薬を使っているのか聞くと、先程まで上機嫌であった兄様の表情は怒りの表情へと豹変する。


「貴様に、天才であるお前に何が分かる? 薬無しで氷の華を咲かせる事ができるお前には、才能が無い俺の気持ちなど分からないんだろっ!?」

「そ、そんな……」

「俺は長男なのにどんなに努力しても薬が無いと氷の華は一つも咲かせる事ができないんだよっ! なのになんで家を継ぐ必要がないお前が俺よりも才能があるんだよっ!? おかしいだろっ! なんで俺ではなくお前なんだよっ!?」

「お、お兄様っ」

「あ……っ、す、すまん。 取り乱してしまった。 だが、お前は俺の気持ちを分かってくれるよな?」

「…………」


 そう言うお兄様に私は言葉を返す事ができなかた。





「それで、私を呼んだ理由を聞かせても良いですか? 早くご主人様の元へ戻りたいのでお早めにお願いしますね」


 私はあれから一人でどうすれば良いのか考えたのだが、結局何も答えが見つからないまま数日が過ぎ、気が付けば藁をも縋る思いでブリジットさんを人気のない校舎裏へと呼び出していたのだが、ブリジットさんは興味なさげな視線を私に向け、早く戻りたいと言う。


「ブ、ブリジットさんは氷魔術の【氷華】という魔術を行使できますか?」

「あぁ、あれですね。 こないだご主人様が使ったのを見て、教えて貰ったんですよ」


 そしてブリジットさんは氷の華を無詠唱で咲かせるではないか。


「流石にあの時のご主人様のような数はまだ無理ですけどね。 ご主人様のあれを見てからだとショボいかもしれないのですが、今は十個同時が限界です。 ……それで、これが聞きたかった事ならばもう帰っても良いでしょうか?」



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ