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問い質したい

「そ、そんなはずが……」


 あり得ない。


 ガレットの話を聞いてまず思ったことはそれだった。


 しかしながら、カイザルが今までした行動は全て悪戯程度の事か、親の権力を使って横暴な行動を取るか、そして元婚約者のスフィアに対して賊を使って襲わせた事くらいである。


 そして、ガレットの言う通り元婚約者へ襲わせたのも、失敗すると分かっていたからというのであれば、カイザルが行ってきた数々の行い、それ一つ一つは大した事のない、小さな事の積み重ねでしかない事になる。


 しかしその小さな事の積み重ねにより世間のカイザルに向ける評価はクズであるという評価を得られているのも事実で、もしガレットの言う通りカイザルがわざとそう見えるように仕向けたのだとすれば、少ない労力にたった一度の決定打をここぞという時に使うことで、低リスクでカイザルは自分の求めた周囲からの評価を集めることが出来た事になる。


 そして今や周囲がカイザルに向ける評価は、誰に聞いても雑魚でクズで最低な男性という評価であろう。


「君が信じようが信じまいが僕には関係ない。 ただ僕だけが『僕の身体を治してくれて、この神をも恐れぬ力を与えてくれた』という事を知っているのであればそれだけで良いと思っている。 さて、もうすぐで五分だ。 喉元に木刀の切先を突きつけるだけというのも味気ない。 いいかい? 僕は今から君の腹を思いっきり殴るよ。 それも、木刀を持っていない左手で」

「や、やめて……」


 もし、模擬戦を始めるまであれば、馬鹿にしすぎだと怒っていただろう。


 しかしながら今の私には怒りよりも、避ける事などできるわけもなく本気で殴られたら死にかねないという恐怖しかなかった。





「ご主人様、模擬戦は無事終わりましたよ」

「ああ、そうか。 ありがとう」


 ブリジットの優しい声音により起こされた俺は、もう少しだけブリジットの柔らかい太ももを堪能したいという欲求を振り解き、起き上がって伸びをする。


 ちなみに、この欲求を言ってしまえばどうなってしまうのかなど目に見えて分かるので決して口にはしないし、なんで俺が膝枕されているのかなどの追求もしない。


 そう思いながら俺は模擬戦相手であるカレンドールさんを探す。


 無事だと思いたいが、万が一無事でない場合は一応治療くらいはしてあげよう。


 だから家に訴えるだとか、そういうのは止めていただきたい。


 そう思いながら周囲を見渡すと、なぜかボロボロになったカレンドールさんが、少し離れた場所で俺に向かって土下座をしているではないか。


 どうしてこうなった?


 今すぐにでもブリジットとガレットにそう問い質したい気持ちをグッと堪える。

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