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学校恐怖症

「い、命だけはどうかっ!! 幼い頃からの付き合いではないですかっ!!」

「そうだな、幼い頃から俺は見下されていたな」

「そ、それは旦那様の命令で仕方なく──」

「──今さっきまで俺を見下し、殺そうとしていた奴が言う言葉など通用する訳がないだろう?」

「ひぃいっ!?」


 そして俺との力量の差を知ったメリッサは命乞いを始めるのだが当然許すつもり等毛頭ない。


 何だかんだで優秀なメリッサの事である。


 逆立ちしても俺には勝てないことを理解したのだろう。


「も、申し訳ございません。 申し訳ございません。 申し訳ございません。 申し訳ございません。 申し訳ございません。 申し訳ございません──」


 その事を理解したメリッサは恐怖から崩れ落ち、地面にはメリッサの体液が流れ始め、その事などお構いなしに土下座をし、俺へと許しを請い始める。


「許すと思うか?」


 そして俺は自分の体液まみれになりながら地面に頭を擦り付け許しを請い続けるメリッサの背中に向けて許すはずがないと言うのであった。





 あれから一週間、変わったここと言えばクヴィスト家にメリッサの姿がなくなったことぐらいであり、それ以外は別段何も変わっていない。


 使用人や家族から見下される毎日だ。


 ただ、細かいことを言うとするのならば父親の俺を見る目がほんの少しだけ変わったことぐらいであろうか。


 おそらくメリッサの件を聞きたいのであろうが、自分から俺を殺すように命令した手前うかつに聞けない状況なのだろう。


 まぁ、俺からしてみればそんな事はどうでも良いことだ。


 見下され、排除するべき異分子という父親の俺に対する価値観は変わっていないのだから、何も変わらないと同じだ。


 そして、日数が経つにつれクヴィスト家の使用人、主にメリッサ直属の部下達が一人、また一人と消えていくのだが、もともとあまり使用人に興味のない父親がそのことに気付くのにはメリッサの部下全員が消えてから一か月以上経っての事であった。


 そんなこんなで今現在メリッサの部下が消えて行っている事実に気づかない父親や、俺を見下す家族と共に朝食を食べ終えて俺はさっさと魔術学園へと登校する準備を終わらせ馬車へと乗り込む。


 今まで学園をサボって来た訳で久しぶりの学園でもある。


 そして、久ぶりに学園へと向かう俺は絶賛腹痛中でもあった。


 学園へと近づけば近づくほど強くなる腹痛を鋼の精神で何とか耐える事半時間、ついに馬車は帝国立魔術学園へとついてしまう。


 腹痛の理由は学校恐怖症であり、恐怖症の原因は婚約破棄だと思う。


 その症状原因は全て自分にあるのだから救いようがない。




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