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ドラゴノイド




 一体いつブリジットさんが現れたのか、私は目で追うどころか気配を感じる事すら出来なかった。


 あの時確かにブリジットさんはこの修練場から出て行っているのを私はこの目で確認したし、模擬戦開始時ですらブリジットさんの気配はしなかった。


 それなのに、私の攻撃を防いだのは急に現れたブリジットさんであった。


 一体どういう事なのか。


 ブリジットさんが近くに来た時点で私が気づけない筈がない。


 しかし現実ではこうしてブリジットさんが現れて私の攻撃を防いでいるという事は、何かしらの方法でもってブリジットさんを召喚したと考えた方がしっくりくる。


 そう考えていると、次にカイザルは手を二回叩く。


 するとどうだ。


 先程までは居なかったメイドが現れたではないか。


 そしてブリジットの時に契約違反ではないかと詰め寄った時にカイザルが言っていた言い訳から考えるに、あのメイドもカイザルの奴隷であるという事なのだろう。


 この時私はようやっとカイザルが私の模擬戦を受けた理由を理解できた。


 カイザルは初めからまともに私と模擬戦をするつもりなどなかったのである。


 だからこそ彼は私との模擬戦を受けた。


 クズが……。


 ここまでバカにされ、コケにされたのは、私の人生で初めてである。


 しかも私をバカにしてコケにした相手はあのカイザルなのだから笑えないし、許す事など到底できよう筈がない。


 そして、カイザルを叩きのめす為には恐らくブリジットだけではなくこのメイドも倒さなければならないだろうと判断した私は、そのメイドを見て少しでも情報を得ようとして、目を疑う。


「ド、ドラゴノイド……」


 スカートの腰部分から生えている、赤く太い爬虫類系の尻尾、背中には赤いドラゴンのような羽、その額には一対の赤く長い角が生えているのが見える。


 その身体的な特徴からしてあのメイドはドラゴノイドであるという事が分かる。


「そんな……あり得ない……」


 ドラゴノイドとは本来プライドが高く、自分より劣っていると思っている私達ヒューマンを見下し、奴隷にされたとしてもあそこまで従順になる個体など見たことも聞いたことも無い。


 それがどうだ。


 従順どころか忠誠心すら抱いていそうではないか。


 あり得ない。


 私のお兄様であればいざ知らず、このクズで万年ドベのこの男にドラゴノイドが奴隷にされているにも関わらず忠誠心を抱くなど、どう考えても普通ではない。


 一体カイザルはこのドラゴノイドに何をしたのか、それは分からないのだが、ただ、このドラゴノイドを倒さなければカイザルを引っ張り出すことができないという事だけは分かる。

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