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プロローグ

 ある朝、それは目覚めと共に訪れた。


 朝、目が覚めるように、夜が来たら朝が来る様に、思い出す事が当たり前であるかの如く俺は前世の記憶を思い出す。


 流石に死んだか。


 前世の記憶を思い出して最初に思った事がそれである。


 前世の俺はVR型のアクションRPGゲーム、ドラゴンファンタジーナイト~愛のラビリンス~にハマっており、食事をする時間すら惜しむ程にハマっていた。


 それこそ死ぬ前の数ヶ月間は碌にご飯を食べていなかった程には。


 その結果俺は死んで結局ゲームをできなくなるのだからただのバカとしか言いようがない。


 そして前世の記憶を思い出した俺は次第に冷や汗をかき、顔は青白く変化していく。


 当たり前だ。


 前世の記憶を思い出したからと言って現世の記憶を失ったわけではないのだ。


 では何故顔面蒼白になるのか。


 それは単純明快で、俺が死ぬ間際遊び尽くしたゲームの悪役キャラクターが何を隠そうこの俺、カイザル・クヴィストであり、この俺こと悪役キャラクターであるカイザルはどのストーリー展開を選んでも死ぬのである。


 驚異の死亡率百パーセント。


 公爵家長男という立場に物を言わせてやりたい放題のカイザルが断罪されるシーンは何度プレイしてもスカッとしたものである。


 しかしそれはあくまでも第三者の立場であったからこそ得れる快楽であり、何の因果か晴れて当事者となった俺からしてみれば笑い話にもならない。


 そして更に頭を抱えたくなるのが、昨日俺はクヴィスト家主催のパーティーで婚約者であるスフィア・ラヴィーニへと多くの貴族がいる前で婚約破棄イベントを行っていたからである。


 それは、ドラゴンファンタジーナイト~愛のラビリンス~の序盤にあるイベントであり、物語が動き出したという事でもある。


 因みに婚約破棄されたスフィアは主人公でもありここグラディアス帝国の第二王子でもあるクロード・グラディアス殿下に慰められ淡い恋心を抱き、その恋心を隠しながらクロードと共に行動をする、攻略対象でもあるメインヒロインの一人である。


 そして俺は深い溜息を吐くとベッドの上で頭を抱える。


 何も記憶を思い出すのが今じゃなくても良いではないか。


 それこそ産まれて来たその時から前世の記憶を思い出していれさえすれば上手くやれていた筈である。


 百歩譲って婚約破棄前に戻っていれば俺はスフィアと婚約破棄をしなかった。


 本当、運が良いのか悪いのか。


 それならばいっその事前世の記憶を思い出さず、何も知らないままの方が幸せだったかもしれない。


 だが、幸か不幸か俺は前世の記憶を思い出したわけで。


 そして俺は頭を抱えた状態で約数十分間現実逃避をするのであった。

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