二 真の幸せ
それから、ひとまず男爵邸に戻り、ひとしきり再会を祝して、ケビン達や悪魔まで交えた大パーティーが開かれた後の事。
ラフレシアとルピナス、スノードロップの悪魔組は仙人の山へ行き、彼とひっそり暮らし始める事にした。
「ワタクシ達、悪魔として世の役に立ちたいのね。だから仙人の所で色んな事を知りたいのね」
「嬢ちゃん、寂しい時にはいつでも呼んでくれよ。風みたいに駆け付けるからさ」
「我が親愛なるご主人様。どうぞお元気でお過ごし下さいませ」
ルーマーは、エジーと一緒に旅に出て、幸せを探し始めた。
「ルーはぁ、せっかく生き返して貰った分、幸せになりたいのぉ。……、ニユ、ずっと友達よぉ」
グリアムは王城メイドとして働く事になった。
「いつも、お嬢様のお傍にいたいんです」
ケビンは、ラフレシアの手で解放された公爵に代わり、王となった。
「ニユが守り抜いてくれたんだ。次は俺が、国を守り、率いて行く」
そしてニユは、ケビンと幸福に結ばれた。
――あれから三年の月日が経った。
あれ程危機に見舞われていた国はすっかり安定し、信じられないぐらいに平穏な日々が続いている。
午後、王城のテラスにて。
ニユとケビンとグリアムは、一緒に紅茶を啜り、談笑している。
「明日、モイザが遊びに来るんだって」
「へえ。ルーマーも顔を出しに来ると言ってたぞ」
「久し振りにルーマー様とお会いできるの、楽しみです。モイザ様ともお話ししてみたいです」
時はゆったりと、長閑に過ぎて行く。
涼やかな風に赤いリボンを揺らしながら、ニユはそっと呟いた。
「この幸せが、いつまでもいつまでも続くと良いな」
完
これにて、『救世の旅路』『望みへの旅路』の二編に渡ったニユの物語は終幕です。
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