とりあえず、第3話 全部を誰かのせいにして、生きていられるなら楽でしょうよ
そろそろ物語を加速させないと(汗)、誰も読んでくれなくなっちゃう。(汗)
豚肉?の事は、多少気になるが今は置いておこう。
それよりも、もうすぐ来る天津飯だ。
こいつがこの店のナンバーワンだ。(当社調べ)
こいつとギョーザを口に放り込み、ビールでそれを流し込む。
それだけで、アロハが食べてるニラレバの約6倍はウマイ。
想像するだけで楽しくなってきた。
オラ、ワクワクしてきたぞ。
カチャ。
待つこと暫し、天津飯がついに来た。
ふんわりと揺蕩う白い湯気。
しかし、それを見つめる俺の心はワクワクしてこない。
「ワクワク」が消えて、「ヤバい」が心を埋め尽くしていく。
何が「ヤバい」のか、天津飯のアンに赤みが見えないのだ。
薄茶色なのだ。
天津飯をレンゲに乗せて、恐る恐る口をつける。
咀嚼を繰り返し、飲み下す。
うん、これ、塩味デスネ。
ダァー、なにやってんのよ。違うでしょ。
俺が店に来る→天津飯を注文する→甘酢っぱい天津飯を出すは、今まで繰り返してきた鉄板の流れでしょうよ。
うわぁ、引く、正味のはなし、これはないわぁ。
そりゃ、確かに今日は気を抜いて居たのかも知れない。
店主と俺の信頼関係の上に胡座をかいて、明確に「甘酢っぱい」と指定しなかった。
俺が賭けにでて、裏目っただけとも言える。
過去を振り返れば、甘酢っぱい天津飯を食べられなかった日は今日だけではない。
時には俺の、そして大半は店主のミスで塩味の天津飯を食べ、涙で枕を濡らした日は過去にもあった。
しかし、ここ2ヶ月ほどは違ったはずだ。
俺は基本的に甘酢っぱい天津飯と他に何か一品を注文し、店主はそれに応えてくれていた。
この2ヶ月に限って言えば、俺と店主の防御率は0,00だ。
塩味天津飯を完璧にシャットアウトしてきた。
しかし今日は違った、気の抜けた棒球をスクリーンの最上段まで運ばれた気分だ。
やっぱ、ハゲ(店主)はダメだな。
ハゲは何をやらせても大事なところでしくじりやがる。
だからハゲは嫌われるんだよ、主に女性から。
そんな事で私(女性)を守れるの?ってことだろう。
はぁ、俺のこの2年間の頑張りは、ほとんど崩れ去ってしまった訳ね。
また、一からやり直し、、、いや、小さな修正で済むかもしれない。
バッテリーは信頼関係が重要だ。
俺はハゲを信用できないが、ハゲには俺を信用してもらいたい。
ピッチャー(店主)に気持ち良く球を投げさせるのはキャッチャー(俺)の役目でもある、と聞いた事があった気がする。
ここはひとつ見せてやりますか、名キャッチャーの名リカバリーってやつを。
「へぇ、オヤッサン、久しぶりに塩味の天津飯を食べてみたけど、結構美味しいなぁ(大嘘)。でも、やっぱり俺には甘酢っぱい天津飯が一番美味しいかなぁ(切実)。」
少し大きな声でそう言いながら店主を見ると、、、。
店主は大きなあくびをしながら、厨房で椅子に腰掛けスポーツ新聞を捲るところだった。
ヘイ店主、ドゥーユーノウ ボイス オブ カスタマー?
VOCだよ、顧客の声ってやつだよ。拾えよ、集めろよ、そこには成長への種が含まれてる事が多いんだよ。
って、ハゲに言っても無駄だったか。だってハゲだしな。
ハゲを有能にする事と蟻に因数分解を理解させる事は、等しく現代の技術では実現不可能だと考えた俺は、甘酢っぱい天津飯の代替手段について熟考し始めた。
楽に生きたい。(切実)
面白いなと思えたら、ブックマークと感想をお願いします。