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とりあえず、第28話 パブロザニア

職業体験施設みたい。


それでは、第28話、はりきって、どうぞ

翌朝、父と俺は家から程近いパブロ弓具店を訪れた。

店にはまだ客が来ておらず、1人の男が作業台に向かって座り、何やら作業をしていた。

「おはよう、パブロさん」

「おはようございます、パブロさん」

「おっ、おはよう。ダムとそっちのちっこいのは、、、アル坊じゃないか、二人揃って今日はどうしたんだい?」

「今日はウチのアルに弓の事を教えて貰いたくて、そのお願いに来たんだ」

「アル坊に弓ねぇ。そりゃ、ダムの頼みだから断るような事はしねぇが、アル坊は今いくつだい?」

「もうすぐ8歳になります」

「ふむ、ちょっと早い気もするが、、、アル坊は魔法を使えるようになったのかい?」

「はい、お母さんに教わってます」

母と行う練習用の木の枝を取り出して、扇風機の弱風程度の風を出してみる。

「こりゃあ、大したもんだ。それは普通の木の枝だろ。魔石が埋め込んである訳じゃないよな?」

「ウチのエヴァが始めにちょっと魔力を通したが普通の木の枝だ、魔石は使ってないよ」

「そうかい、うん、話は分かった。で、いつから始めたいんだい?」

「今日からでも問題ないよ。夕方には返すようにしてくれればいいと思うんだが」

「分かった。それでいこう。カーズは今、出ていてな、昼過ぎには帰ってくるはずだ。それまでは、ここで弓の説明でもしてやろう」

「ありがとう、パブロさん。よろしく頼むよ。

アル、パブロさんの言う事をしっかり聞くんだぞ」

「うん、お父さん。パブロさん、よろしくお願いします」


父が戻った後、パブロさんは早速説明を開始してくれた。

「アル坊も知っている通り、ウチは弓しか扱っていない。

弓の弦はほとんど依頼する事が多いし、鏃や矢軸、矢羽根なんかも依頼する事が多いな。ウチでやっているのは弓本体の加工と矢の組み立てだな。弓を射る練習から始めてみても良いんだが、アル坊に引けそうな大きさの弓が今はねぇんだ。まずは、自分の弓を1から作ってみたらどうだい?簡単な弓だったら作るのはそう難しくねぇ」

「良いんですか?でも、お金が、、、」

「子供が金の事なんか気にすんな、材料もそこらに転がっている端材を使えば問題ねぇ。」

「ありがとうございます。」

「良いって、気にすんな。ところで、アル坊は風以外の魔法も使えるのかい?」

「ええっと、一通り練習はしてます」

「火魔法だと、どのぐらい温められそうだい」

「温める量にもよるけど、このぐらいの大きさならちょっと熱いお湯ぐらいです。」

手で小さな丸を描いて、少し控えめに返答した。

「火魔法が使えるとな、弓の加工に使えるんで便利なんだが、やっぱり大したもんだな」


普通のサイズの弓には使えない長さの端材も、小さな俺向けの小さな弓用なら十分に使える。

俺はパブロさんに教わりながら、初めての弓作りに挑戦した。

「ここを固定しといてな、こうやって曲げるんだよ。そんでここをアル坊の火魔法で少し温めてみな。ほら、さっきよりも曲がりやすいだろ。そんで、こっちもそのまま固定しちまうんだ。」

「へぇ、この後はどうするんですか?」

「冷えるまで待って、いい具合いに出来てりゃ、それで良い。もうちょっと曲げが必要だったらもう一回やって修正だな」

「分かりました」

「売りもんを作る時は、幾つかの素材を重ねて作ったり、漆を塗ったりってするんだが、弓の練習用ならこれでも十分だろう」

「ありがとうございます、自分で作るのって楽しいです」

「そうか、そうか、作るのが楽しいか。アル坊は良い弓職人になれそうだな」

弓職人になる前に冒険者の可能性を試したいので、ここはジャパニーズスマイルで曖昧な返事をしておいた。


弓に加えた熱も冷め、形状にも特に問題ないとの事で次の作業に取り掛かる。

引き続きパブロさんに教わって、弦をかける所の細工や、持つ所に布を巻いたりした。

「よし、弦をかける時はな、まず弦の両端に輪っかを作っとくだろ、片方の輪っかは始めにつけて、んで、地面にここをこう固定して、弓を曲げるだろ、そんでこうやってこっち側も弦をかければ完成だ」

材料の切り出しから始めたのに2時間ぐらいで終わってしまった。さすがプロだ、仕事が速い。

「矢は、そうだな、とりあえずコイツを少し短くしてと。鏃は要らんが、先端だけ少し削っとこうか、練習には5本もありゃいいだろ。」

先端の尖った3枚羽の矢を5本作った。


ゴーン、ゴーン、ゴーン

教会の正午を伝える鐘の音が遠くから聴こえる。

「お、もう昼か、そろそろキッドも帰ってくるだろう。練習するんなら、キッドに教わるといい。弓の腕なら今じゃあいつの方が俺より確かだよ。ほら、家に戻って飯でも食ってきな」

「弓の作り方を教えてもらえて、嬉しかったです。ありがとうございました。ご飯を食べたら戻ってきます」

「おう、後でな」


家族で昼食を食べながら、皆に弓を作った話をした。

初めての弓作りの興奮が家族にも十分に伝わったようで、父も母も兄も、楽しそうな顔をして俺の話を聞いていた。

俺も笑顔だったのかな?


あれ、これ冒険者ルートから外れかかっている?

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