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とりあえず、第14話 偉人っぽい事したいなぁ

待ってました。(読者も作者も)

遂に異世界デビューです。

それでは、第14話、はりきって、どうぞ。

俺は母親の体内で、今までの事、そしてこれからの事を考えている。

俺が勝手に母親の体内だと思っているだけで、実際は試験官の中に居る可能性もない訳では無い。

しかし、周囲から聞こえる音とこれまでの記憶から、そうだろうと判断している。


時間があるので冷静に自分の事を考えてみるが、正直あの説明会での行動は拙速だったと今なら思える。

だってあれ、どう考えても催眠商法の類だし。

購入者に十分な説明をせず、選択肢を狭め、さらに焦らせることで冷静な判断力を奪い、購入しなければいけないと思わせる。

さて、私は何を買わされてしまったのかだ。

マイク男の説明を信じるなら、俺は惑星アナザワルドで第2の人生を送ることになったわけだ。

便宜的に人生という言葉を使ったが、マイク男はアナザワルドには様々な種族が暮らしていると言っていた。

そう、そもそも今世の俺って、人族なん?

あの説明会で流れた映像に映っていたモンスター側の可能性もあるんちゃうん?

そう考えると軽くヘコむ。

自分は人種差別主義者ではないつもりだが、自分が差別されるつもりもない。

狩りに行くつもりがなかったとは言えないので、卑怯とは思うが狩られる側には回りたくないなぁ。

だって人間だもの。


モンスターの心情は知る由もないが、少なくとも俺の精神は地球にいた頃と何も変わっていないようだ。

てっきり、チケットゲット後には、転移ボーナスとか、転生ボーナスの話で、神様的な方と面談するのかと思っていた。

で、その神様的なポジションがアロハだったりとかさ。


マイク男の登場前は、てっきりアロハがそこにいるものだと思っていた。

無論、アロハがマイク男だった可能性はある。

だって、あんな魔法を使えるような奴らだ。姿形を帰るなんて余裕だと思う。

でも、俺はどこかでマイク男=アロハ説を否定している。

確かに、俺はアロハに煽られて何度か争った事はある。

正直に言うとアロハに煽られたってのも、アロハと争

ったっていうのも、基本的に俺の妄想なんだけどね。

俺が勝手に踊って、勝手に転んだだけだし、どう考えても。

でも、だからこそ思えた。多分アロハは、ズルをしないやつだって。アイツは俺と真っ向からぶつかってたって。

その点では、マイク男とアロハは全く違うと思った。

マイク男は嘘は言わないが、重要な事も言わない。

あわよくば人を騙そうとする、詐欺師スタイルだ。

そもそも俺達を集めて、急かし競わせた意味が全くわからん、まともに説明してもアナザワルドへの参加者が来るなら、あの形の説明会にした意味がまるでない。

アイツは俺達がアナザワルド行きを躊躇う情報を伝えたくなくて、あの形の説明会にしたのだと思う。

売った後のことは知りません、あなたが買う意志を示した契約書はありますよ。詐欺?とんでもない。あなたが聞かなかったんじゃないですか。

と、マイク男の言い分はこんな所だろう。

現代日本ならクーリングオフ制度なりあるが、今はそれについて考える事は無駄だから辞めておこう。

だがひとつ言える事は、俺達がルールに縛られる様に、マイク男にも従わなければならないルールがあるかもって事だ。

ルール無用なら、俺たちの意志なんて無視して、アナザワルドに放り込んで一丁上がりだ。

まぁ、マイク男が単純にああいう事をしたかったって可能性も十分にある。

マイク男の第一声「元気ですかぁ!」は、日本人でも戸惑うだろうし。


とにかく、俺はまだ神様的なポジションの者とは、あの説明会以降に出会っていない。

あの説明会で気を失って、次に気が付いたらここにいた訳だ。

欲しかったな、転生ボーナス。

超絶魔力とか、有能スキルとか、、、。

いかんな、地球でご都合主義で自己中心的な小説を読みすぎたようだ。

世界は俺を中心に回っていないって事を、俺は何度も何度もその身で経験してきたはずなのに。



済んでしまった事を、今更どうこうできるとは考えていない。

おそらく俺はアナザワルドに来てしまっている。

問題はこれからどうするかだ。

高校デビューならぬ、赤ちゃんデビュー、もといアナザワルドデビューが俺を待っている。

ここは、粋な日本人って奴を存分に見せつけるべきではないだろうか?

「おいおい、コイツァ最高にクールで、ご機嫌な野郎だぜぇ」って、アナザワルド民に思わせるべきではないだろうか?

地球の偉人達は、数々の偉業を成し遂げてきた故に偉人な訳だ。

だが、生後間もない時点での偉業を持つ者はほとんど居ない。

だって、赤ちゃんだしね。

でも、俺にもこうしてチャンスが回ってきた以上、やるしかない。

挑戦するしかないのだ、偉業ってやつに。

地球で有名な生誕時の逸話のひとつは、母親が父親の居ない子供を馬小屋で産むって逸話だ。

父親が居ないってのは、私生児とは違う意味だが、子供の本当の父親としては如何なものかと言わざるを得ない。その真意はまさに神のみぞ知るのだろう。

とにかく これは自分で操作ができず、運の要素しか無いのでパスせざるを得ない。

もしそうなっていたら、せいぜいが後になってから、「ワイ、馬小屋で生まれてな、母親は処女やってん」って言ってみよう。

非常に高い確率で、狼少年になる可能性が高いが。

いや待てよ、様々な種族が住むはずのアナザワルドなら、俺が狼獣人に生まれ変わっていて、リアル狼少年になる可能性も、、、。


妄想していても仕方ないので、俺が知るもう1つの逸話に挑戦してみよう。

生まれてから7歩歩いて天と地を指さし「天上天我唯我独尊」と語る奴だ。

コイツが出来たら激アツだ。

産まれたばかりで7歩も歩くのは無理臭いが、喋るだけならいけるかもしれない。

ワンチャンあるはずだ。



俺が益体もない妄想をしたり、主に寝たりしているうちに、遂に誕生の瞬間が訪れようとしている。

アナザワルドデビューの瞬間だ。

産道に身体を圧迫されながら、俺の体は母親の体内から生まれ出ようとしている。

身体を軋ませながら、初めて喋る予定の言葉「天上天我唯我独尊、天上天我唯我独尊」と念じる。


母親の体外に出たが、まだ完全に目を開く事は出来ないようだ。

そして俺は、布で包まれて身体を拭かれているようだ。

やはり、この状態では歩くのは無理だ。

薄く開く事が出来た目には、俺を抱く産婆さんらしき人間の女性、横たわり力を失いながらも俺を見て嬉しそうに微笑む俺の母親らしき人間の女性。

よし、とりあえず、リアル狼少年の可能性は薄まった。

アナザワルドデビューの為に、深く息を吸い込んだ、俺は口を開きこう叫んだ。

「おぎゃーーーーー!!!」


激アツのアナザワルドデビューは逃したが、無事に人族としての赤子デビューは果たせたようだ。

そりゃ、無理でしょ。



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