とりあえず、第1話 泣いてませんよ、だって男の子だもん
初めて小説を書きます。
一日の仕事を終えた太陽が西の地平に吸い込まれていく。
美しい夕日を見ていると、妙にノスタルジックな気持ちになってしまう。
帰りたい場所も、会いたい人も、すぐには思いつかないのに、この気持ちは何処からやって来たのか。
行きたくない場所や会いたくない人なら、すぐに思いつくのに。
おかしな話だ。思わず、1人でニヤけてしまった。
まぁ、夕日が目に染みるって奴だろうな。
ここは、務め先が入居している雑居ビルの非常階段。
その4階付近の踊り場だ。
世間が禁煙だとか、分煙だとか、副流煙で健康被害がとか言い出してた頃には、それでも信仰を捨てきれずに虐待を受けた人々が、ここに集まっていた。
あの頃からもう10年はたっているだろう、当時、肩を寄せ会い過ごした仲間たちも、今はもう居ない。
彼らは政府や世間、ましてや身内からも罵られ、この場所を離れる事になったのだ。
俺はタバコを1本取り出し、火を付ける。
紫煙を燻らせる。
うぉ、目が痛い。
煙が目に入ったのだろう、俺は思わず目を手で擦った。
一般的に、目に入れても痛くないものなんて、孫くらいのものだろう。俺には、妻も子供も、もちろん孫なんて居やしない。
当然、この世にある万物全てが目に入ると痛くなる対象になるな。
そういえば俺が子供の頃は「男の子は泣かないの」と言われて育ってきた。
しかし、ジェンダーフリーが叫ばれる昨今、どうやって教育しているのだろうか。
ふむ、Coogle先生に聞いてみるか。
スマホを取り出し、検索しようとするが、なんと打つべきか?
まずは「男の子は泣かない ジェンダーフリー」としてみよう。
それ、ポチッとな。
検索結果のトップに来たものは、ふむ、論文のようだ。しばし、その論文に目を通す。
ふむふむ、なるほどなるほど、さすがCoogle先生、全くわからん。
著者は、自らの考察を伝える気があるのだろうか?
それとも難しく話す事で己の虚栄心を満たしたいだけだろうか?
ジェンダーフリーに関わり、それに理解を求める立場なら、広く万人に理解しやすい文章にするべきだろうに。
いや、この筆者は万人に理解なんて求めてないな。
この筆者は、Coogle先生に「貴様ァ、前に出て説明しろぉ」と、言われただけだし。
スゥーー、ハァーーー。
胸いっぱいにタバコの煙を吸い込んだ後、一拍置いてから白い煙を吐き出す。
うん、余は満足じゃ。
この俺の類稀なる信仰心には、タバコの神も大いに満足している事だろう。ほとんど根元まで吸ったタバコを靴底でもみ消して、吸殻を携帯灰皿に入れた。
おじさん、こういうマナーはちゃんとしてるんです。
偉いでしょ。
まぁ、実際は非常階段には「禁煙」と注意書きがあるのだから、マナー的にはトータルでプラマイゼロだろう。
セーフ、セーフ、セェーーーフッ。
おじさんは、悪い喫煙者じゃない。
ブッダも言ってたはず、「中道って、良い~感じじゃな~い」って。
良い喫煙者でも、悪い喫煙者でもない。まさに中道。いやぁ、もう悟り開けそうですわ、喫煙のおかげで。
さて、太陽の仕事は終わったようだが、まだ俺の仕事は終わっていない。
一服を終え、少しはやる気も戻ってきた気がする。
燃えるような赤から、深い青色へと変化していく空を眺めながら、残りの仕事について頭を働かせ始める。
さて、オフィスに戻って、今日の仕事を終わらせてくるとしようか。
オフィスへと続く扉を開け、廊下に足を踏み入れて数瞬。
バタン。
扉が閉まる音と共に、背後から強い光が差し込んだ気がした。
気になって振り返るが、そこには非常階段への扉があるだけだった。
うーん、西日ってそんな光り方したっけ?
最近はミラーガラスみたいなビルも増えているし、反射の具合で光が集まったのかもしれないな。
そんな事より早く仕事を終わらせてこよう。
明日は休日だ。
駄文ですが、よろしくお願いします。
ブクマ登録絶賛募集中。
ウチの子(小説)を助けるために、ブクマをお願いしております。