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第四十一話

 「師匠!どこですか!?」

 

 幕舎から出てきたミリー。

 彼女はアンドレアを探していた。

 とはいっても軍の野営地、見渡す限りの人の山だ。

 見つけるのは困難を極める。


 「おお?ミリーじゃねえか?」


 あちこち探し回っていると話しかけてくる人間がいた。


 「えっと、医師会の…」


 「久しぶりだな。4年ぶりか?」


 「はい、お久しぶりです…すいません、今人を探してて…」


 「ん?アンドレアか?だったら石橋の所に行ってたぞ」


 「ありがとうございます!!」


 何か言いたげだったがミリーは無視して走っていった。


 「…いい弟子を持ったな。アンドレア」


 




 「ミリー…」


 テベレスの石橋の上、そこではアンドレアが憂いを帯びた瞳で川を見て黄昏ていた。


 「何があったんだよ?アンドレア」


 隣では同業者…つまりは医者の仲間が話しかけてきた。


 「別に何もないさ」


 そっけなく言い放つアンドレアにからかうように彼は言った。


 「ミリーの事だろ?」


 「違う」


 「嘘こけ。声に出てたぞ」


 「…本当か?」


 全く気付いてなかった…


 「何があったのか話してみろ…」


 「ああ、実はな…おいどうした?」


 ふいに会話が途切れた為、アンドレアは彼のいる方へ視線を移した。

 すると…


 「は?」


 「………」


 眉間に槍が突き刺さった彼が居た。


 「て、敵襲ゥーーーー!!」


 慌ててアンドレアは叫ぶ。

 そしてその叫び声に合わせ、橋の近くにある茂みの中から蛮族達が顔を出す。

 見えるだけでも1千はいる。

 帝国軍は、完全に後ろから突かれた形になったのだ。


 「突撃!逃げる者も向かってくる者も皆殺しだ!!」


 「行け行け行け!」


 向かってくる蛮族達に対して、彼は丸腰だ。


 「クソッタレ!いつの間にこんなに近くに来ていやがったんだ!」


 来るなら来い、決死の覚悟で拳を構える彼…

 槍を構えた蛮族が眼前に迫る。

 

 「離れてください!!師匠!!」


 聞きなれた声が後ろから聞こえたかと思うと、小柄な女が敵目掛けて突進していった。


 「ミリー!?何やってる!逃げろ!!」


 彼を助けたのはミリーだった。

 だが彼の知る彼女は戦闘訓練など受けてはいない。

 前に出るなど無謀にもほどがある。


 「逃げてください師匠…貴方ニダケハ、ミラレタクナイ…」


 「ミリー?」


 聞きなれた声が金属が軋むような不快な音に変わっていく。

 

 「Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!」


 その場にいる誰もが委縮してしまうような禍々しい咆哮。

 その咆哮と共に、彼女は見る見るうちに変化していく…


 「キエテシマエェッ!!」


 巨大な体躯を持った双頭の黒い犬…

 その姿に驚愕したアンドレアはその場に立ち尽くし、動けずにいた。


 「ミリー…なのか?」


 ミリーの姿を見た敵は驚くでもなく密集し持っていた丸い盾で上下左右隙間なく展開した。

 その姿はまるで亀の甲の様。

 だがそんなもので守ったところで、今の彼女には紙同然。


 「ぎゃああああッ!!」


 彼女が敵集団を腕で払う。

 たったそれだけで半分ほどが吹っ飛ばされた。


 「総員森に逃げろ。急げ」


 「「「「「「了解」」」」」」


 指揮官と思われる蛮族が叫び、それと共に生き残った敵が橋の近くにある森に逃げていく。


 「ニガサナイ!」


 「待て!!ミリー!」

 

 アンドレアが追いかけていく彼女を止めた、だが彼女はそんなことはお構いなしで森に逃げ込む蛮族を追撃していく…


 「…あれが本当にミリーなのか?いや、今は考えるのを止めにして助けを呼ばないと…」


 本隊に行こうと走り出す直前、近くにある仲間の死体が目に映る。


 「ごめんな…助けられない」


 「………」

 

 当然返事など返ってこなかった。

 アンドレアは彼の開いたままの瞳を手のひらで閉じた。


 




 「ドコダ…」


 森の中に逃げて行った蛮族達を追いかけ入る。

 だがどこにも彼らの姿はない。

 

 「……」


 警戒しながら進むと…


 「…ッ!?」


 突如鈍く輝く縄の付いた矢が四方八方からミリーの全身に降り注いだ。


 「コレハ…ウゴケナイッ!?」


 彼女の動きが止まった。

 よく見れば縄は細い鋼の糸を束ねたもの、容易には破壊できないそれをバリスタを使って撃ち込まれた。

 彼女にとってはたまったものじゃない。


 「頭に打ち込め」


 目の前の草むらが動いた。

 蛮族達は人が一人入れるだけの穴を掘り、その中に入って草を付けた帽子を被って身を隠していたのだ。

 そして彼らは次に彼女の頭にバリスタの狙いを定めてきた。


 「セメテ…ミチズレニ…」


 腹をくくり、死をも覚悟したミリー。


 「Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!」


 彼女の上、木々の間から人間の物とは思えない咆哮が響き渡った。


 「キマイラサン?」


 下半身が蛇上半身が人の巨大な化け物…

 それが彼女の前に守るように躍り出た。

 

 (違う…キマイラさんじゃない!)


 正体が分からない彼は、蛮族に対して攻撃を始めた。


 


 

読んで頂きありがとうございました。

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それでは次話にご期待ください。


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