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第三十八話

 「あれか…」


 空を飛ぶキマイラが眼下に集団を見つけた。

 間違いなく蛮族達だろう。

 すでに帝国軍の出陣が分かっているのかせわしなく動いている。


 「後ろに回るか」


 彼は雲の中に突っ込み、帝国軍の進行方向とは逆の方へと飛んだ。






 「見張りって言ってもなあ…」


 一方の蛮族達、敵が来ると聞きつけてほとんどの兵士は武器を持って、行ってしまった。

 残ったのは複数人の見張りのみ。

 この場にいる彼は不満そうに立っていた。


 「やっぱり俺も向こうに行ったほうが…」


 「いや、その必要は無いぞ」


 「!?」


 気付いた時には遅かった。

 彼の背後には何者かが立っていて、振り返る暇さえ与えられず首を絞められた。


 「…ガッ!?アアッ…」


 「借りを返しに来たぞ。メリザンドとやら」


 ゴキャッ。

 恐ろしい音をあげ、彼の首はへし折られた。


 「さて…こいつを…」


 彼を殺したのはキマイラだ。

 そしてキマイラは物陰に死体を運び自分の服と死体の服を交換しはじめた。


 「…馬鹿の大足か。まあ問題無いな」


 服を着替え終わると今度は死体の体を見る。


 「肌の色はそのままでいいな。後は髪と目か…」


 彼は少しの間止まっているとみるみるうちに髪などの色が変色していく。

 白髪だった髪はくすんだ茶髪、紅い瞳は黒く…

 ただそれだけで別人のように見える。


 「髪の長さはどうにもならんな。服にしまうか。それにしてもクラウの奴、えげつない作戦を思いつくな」


 キマイラは敵陣に乗り込むにあたり、出撃前にクラウと作戦を考えていた。

 

 『彼女は恐らく、味方が密集しているところに技は放てません』


 『何故だ?アイツはあの時俺を正確に撃ち抜いてきたぞ?あの時のように撃てば…』


 『昔の彼女を知っています。敵目掛けて雷を雨霰と降らせるのが彼女の本来の戦い方。迎撃や単独で突撃するなら恐らく彼女の右にでる魔術師はいないでしょう」


 『だったら…』


 『単独なら、です。マナを大量消費するあの技はおいそれと使えない。味方が密集しているところでは魔術は使えない』


 『なるほどな』


 『キマイラさんは敵地に潜入したあと、敵に紛れて暴れてください。それとこれを』


 『これは…短刀か?』


 『毒が塗ってあります。かすっただけでも死ぬものを』


 『…クラウ、お前』


 『柄に付いているボタンを押せばバネ仕掛けが作動して飛ぶようにもなってます。使って下さい』


 『分かった』


 『それでは幸運を』


 今キマイラの手には短刀が握られている。

 とはいえ相手は魔術師、毒を消す魔術も使えるはず。

 これを突き刺し、魔術の行使をされる前に倒す。

 これがクラウの作戦だ。

 

 「遭遇したら必ず一撃くれてやる」


 メリザンドが居なければ問題ないが、仮に居た場合無傷で放置すれば大問題だ。

 後続の騎兵隊が被害を受ける。

 なんとしてでも一撃与えなければならないのだ。


 「さて、暴れるか」


 「おい。何があった?」


 先ほどの声を聞いたのか他の見張りがやってきた。


 「ッ!?お前」


 「死ね」


 近づいてきた敵に蛇に変化させた腕を叩きつける。

 ただそれだけ、だが十分に効果はあった。


 「ガッハ……」


 地面に倒れながら、口から血の泡を吹く。

 

 「敵は向こうに集中しているな…」






 「メリザンド様、見張りがやられました」


 「敵兵が侵入してるのか…探して」


 メリザンド達がいるこの周辺にはおよそ二万七千程の味方がいる。

 拠点を作り、後の侵攻作戦の足掛かりになる。

 

 「今他に構っている暇はないんだ…作戦を遂行するために」


 前方を警戒する彼女。

 しかし…


 「ッガ!?」


 彼女は後ろから横腹を刺された。

 その光景に、周りの蛮族達が悲鳴を上げる。


 「お返しに来たぞ。メリザンドとやら…」


 彼女が振り向いた先には微笑を浮べながら血まみれの短刀を握りしめるキマイラが居た。


 「貴様ッ…」


 振り向きざまに電撃を放ち、キマイラを攻撃する。

 だが刺されたことで動揺したのか彼の服を少し焦がす程度でほとんど効いていない。


 「どうしたんだい?さっき会った時と姿が違うけど?」


 じりじりと寄ってくるキマイラから距離をとる。


 「語る言葉を持たん」


 「メリザンド様!!」


 蛮族達が彼女を守ろうと割って入る。

 

 「退け」


 キマイラは蛇と化した腕で無造作になぎ倒す。

 付近にいる蛮族達は怯えており、抜刀はしているがキマイラにかかろうとはしない。


 「君たちは逃げろ!こいつの目的は僕だ!」


 「それがそうもいかん」


 彼の腕、蛇の鱗が一斉に逆立つ。

 彼の鱗の縁は刃のように鋭い。

 それを逃げていく蛮族達目掛け…


 「ぎゃああああッ!?」


 腕を振って一斉に発射した。

 ある者は背中に突き刺さり、またある者は喉を切られて絶命した。

 

 「俺の目的はお前達全員だ。メリザンドがいれば勿論最優先で狙うがな」


 うめき声や悲鳴を上げ逃げまどう蛮族達を見て微笑しながら彼女を見る。


 「貴様アッ!!」


 激昂した彼女はキマイラに雷撃を放とうとしている。

 だが…


 「…ッ!」


 彼は腕をもとに戻すと猛禽類のような素早さで蛮族達の集団に紛れた。

 最初見た時と姿が違う上、自分たちとほとんど同じ服を着ている彼。

 そんなキマイラを見つけることは困難だった。


 「おのれ…出てこい!正々堂々戦え!!」


 「そうしよう」


 「なッ!?」


 正面に居ると思っていたキマイラはいつのまにやら背後に迫っていた。

 今度は左手を蟷螂の鎌のようなものに変化させて彼女の首を狙う。


 「お?」


 瞬間、彼女はまるで太陽が目の前に出現したのではないかと思わせるほどの眩い光を纏った。


 「高出力の雷の鎧だ。近づいてみなよ」


 メリザンドの声は怒りで震えていた。

 

 

 

 

 



 

どうも田上です。

あとがきを書くのは初めてなので何を書けばいいのかと思いましたが…

何はともあれ読んでいただきありがとうございました。

よろしければ評価、感想などしていってください。

それでは次話にご期待ください。


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