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第二十六話

 キマイラ達が襲撃される少し前、東の公爵ザクセンは3千の軍を3つの部隊に分けて向かい来る蛮族達を迎撃していた。


 「騎馬弓兵隊!!突撃ィッ!!」


 1千程の騎兵達の先頭を行くのはザクセン。

 通常の3分の2程の大きさの弓を眼前の敵に向け、他の兵士達と共に放つ。


 「ザクセン卿!!この数をどうにかできるんですか!?」


 「黙って撃て!!陛下が援軍を呼ぶまで持ちこたえるんだ!!」


 ザクセンのそばで馬で追走しながら弓を放つ側近が喚き散らす。

 それもその通りだろう。


 「敵は少なく見積もっても5万、勝てるなんて思ってはいない。我々の目的は嫌がらせだ!矢を射かけろ!とにかく足を止めろ!!」


 「クソッタレがああッ!!」


 側近が喚きちらす。

 蛮族達の先頭を馬で横切りながらすれ違いざまに攻撃、相手が突撃すれば距離をとる。

 まさしく嫌がらせである。

 ちなみに攻撃は盾で防がれてなかなか当たっていない。

 

 「右に旋回!用意は出来てるな?」


 「勿論です!!早くこのクソッタレな戦場から逃げましょう!!」

 

 「お前はもう少し上品な言葉を使え!!」


 手綱を操り敵の右舷へと回り込む。

 そして彼らの頭上に何かが降り注いだ。


 「ぎゃあああ!?」


 岩だ。

 岩の雨が降り注いでいる。

 被弾した蛮族達は悲鳴を上げ、四肢が千切れ、あるいは圧殺されていく。

 巨大なそれはザクセン達の後ろから放たれていた。


 「ええい!突っ込め!数は俺たちの方が多いんだ!!あいつらをぶち殺せ!!」


 蛮族の隊長だろうか?

 革鎧に長剣という他の兵士と変わらないいで立ちの男がそう喚き散らしている。


 「砲撃開始!!」


 岩の雨が降りやむのとほぼ同時に今度は鉄の弾が降り注いだ。

 





 「戦列の中央に叩き込め!!いいか!?3発撃ったら捨てるんだぞ!!分かったか!!」


 「分ってますよ!!砲長!」


 ザクセン達の後方に投擲兵器を操る兵士達が居た。

 3つに分けた軍の一つである。

 使われている兵器はバリスタ、投石器、そして木で出来た砲だ。

 木砲と呼ばれるそれは丸太をくりぬき、縄でまとめた簡易な砲である。

 それに火薬を詰め、鉄の弾を入れ敵目掛けてぶっ放す。


 「ぎゃああ!?」


 「言わんこっちゃない!」


 木砲で砲撃しようと火をつけた瞬間に暴発、砲手もろとも吹き飛ばした。


 「衛生兵!連れていけ!!」


 「あの蛮族のクソッタレ共!!」


 周りの兵士たちはバリスタやら投石器やらを片付けていた。

 そんな兵士たちの横で腹に木砲の破片を受け喚き散らし出血しながら担架に乗せて連れていかれる兵士。

 

 「よーし撃ち尽くしたな撤退だ!!わき目も振らずに撤退だ!砲は置いていけ!!」


 「いいんですか?」


 「弾がなけりゃ撃てないさ。さっさと乗りやがれこのウスノロが!!」


 罵声を浴びせながら馬を操り後ろに乗せる砲長。

 隣を見れば2頭の馬の後ろにバリスタを繋いでいる。

 車輪のついたそれは移動が容易になるように改造されたものだ。


 「これからどうなっちまうんですかね…」


 「知るかボケ!!俺たちは黙って敵に弾ぶちこみゃいいんだ!!そんでもって今は逃げるぞ!急げ!!」


 不安そうな兵士を汚い言葉を浴びせ無理やり馬に乗らせる砲長。

 彼は黙って馬を走らせた。


 




 「矢が切れました!!」


 一方ザクセン達はというと、砲撃が終わるや否や馬を走らせ再び攻撃に転じていた。

 とはいえ矢筒の矢もすっからかん。

 補給のために退かねばならない。


 「撤退!!補給場所まで走れ!!」


 ザクセンが叫び、他の兵士たちもそれに続く。

 蛮族達も矢を射ってくるが、届かないか当たらない。

 彼らの損害は極めて軽微であった。


 「補給を済ませたら砲兵の撤退を援護する」

 

 「川まで撤退させれば大丈夫でしょうか?」


 「ああそうだ。だから踏ん張れ」

 

 


 

 

 


 

 

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