僕たちの日常
今日の仕事は食料と水の確保だ。水は雨水を簡易的な浄化装置で濾したもの。しばらく雨が降り続いたから、これは放置でいいだろう。
食料はと言うと、十分ではない。食料確保を優先に行動していく必要がある。
「ふむ……」
少年は確認のために解いた荷物を目の前に、思案の構えをとる。
「少年!」
と、思案中の少年に、花が咲くような少女の声が掛かる。
「水は十分なれども食糧危機!作戦を述べよ!」
「うーん。とりあえず隣町に行ってみるか。」
「隣町までどれくらい?」
「3時間ちょっと」
「それガソリン足りるの?」
「ギリギリ……」
「燃料も残りわずか、と。」
「賭け?」
「賭け。」
勝ち負けは置いといて、現状、物資補給の方法はこれしかない。
勝つことを信じて進むしかないのだ。
「じゃ、行きますか。」
「そうしましょう!」
慣れた手つきで荷物をまとめ、愛車スーパーカブに積載。
この小さな猛獣を駆るのは少年、少女は後席で荷物保持。
少年と少女が満載の荷物を載せたスーパーカブに跨がる。
「忘れ物は?」
「ない。」
「名残惜しさは?」
「すこしだけ。」
「明日への希望は?」
「積めるだけ!」
軽やかなエンジン音と共に、少年少女を乗せたスーパーカブが走り出す。
次の目的地へ向けて。




