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白鬼 ~英雄とよばれた白い妖怪~  作者: 黒村 桜
形のある見えない《絆》
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第五話 俊足の刃は空を斬る2

「何これ・・・」


そこには綺麗に斬られてるカーブミラーや標識があった、その道を通った人は皆唖然としている。


池菜は急いで近くの横道を曲がって見てみる、だがそこも斬られた標識やカーブミラーがある。


「なんなの?」


池菜は近くにいた男性に聞いてみるが、「僕が来た時にはこうなってた」と言う、他の人にも聞いてみるが同じことや似たことを言う。


誰も知らない?


斬られた標識に近寄る。池菜は背が高校生の平均よりかなり高いが、斬られたところは頭の更に上の位置で斬られている、まず普通じゃ斬れない。手を伸ばして斬り口を触ってみる、触ってみた感触は滑らかだった。


おかしい。


考えていたら、カイが早く散歩に行きたそうにこちらを見つめていた。


「散歩・・・、行こっか」


「ワン!!」


池菜はいつもと同じ土手の道を通る、朝早い土手道は静かで人の通りも少ない、いるとすればランニングの人か自分と同じペットの散歩している人ばかり。


なんだったんだろう、あれ・・・。


池菜は土手道を歩きながら先程の事件を思い出していた。


一夜にして道の道路標識が斬られて・・・いた?でも、おかしいそしたら誰が気が付くはずだ・・・、そんなに簡単には鉄のパイプは斬れないはずだから大きな音が響いたはず・・・。それに、一番不思議なのは斬られた先端・・・、周りには無かった。


「はー。あれ、何なんだろ」


そんなことを考えながら散歩し始めてよく来る橋の上に来た、今日も同じように風を浴びて過ごす。目を閉じ腕を広げて大の字になり風を浴びる。弱くだが涼しく気持ちがいい風が吹いた。

この場所は落ち着くな。静かだし、風が気持ちいいし、煙いし。あぁ、なんて良い日。・・・ん?煙い?目を開け橋の下を見ると何かが燃ている、手すりから乗り出しても、煙と角度のせいでよく見えない。


「何あれ!!」


池菜は土手道にカイを待たせ急いで橋の下に向かう、林を掻き分け燃えていたところえ向かう。そのには川べで火を焚いて暖まっている白鬼の姿があった。


「「あっ」」


二人は目を会わせるが何も喋らない、ただ見つめ合う。すると川の横に刺さっていた木の棒の先が揺れる。白鬼はノッソリと立ち上がり棒を握る、すると先に糸が付いているのに気が付く。なに、あれ・・・。釣竿?糸の先に何か食いついている、生きよいよく振り上げと。


「ふんっ!」


大きな音と共に何か川から出てきた。


「こ、これわ・・・!?」


川から出て来たのは・・・、ただのペットボトルだった。白鬼は振り返り池菜を睨み見つめてくる。


「な、何よ・・・」


白鬼は体を池菜の方に向け、釣り糸の先にぶら下がったペットボトル見せてくる。なに。ゴミが釣れたのは私のせいって言うの・・・、別に―――。


「食べるか?」


「・・・え、今なんて言ったの?」


「いや、だから食べるか?」


数秒の後。池菜はゆっくり近寄り、白鬼の手にしていたペットボトルを受け取りそれを白鬼の頭上まで振りかざして大きく息を吸って。ペットボトルが・・・。食えるかー!!


「へぶっ!?」


叩いたペットボトルからはいい音がした。白鬼は頭の上を押さえて唸っている、それを見てやり過ぎたかなと感じたがスッキリしたから良いやとおもった。白鬼は痛みが引いてから話を戻す。


「で、俺に何か用かよ」


白鬼は焚火の前で座り、ペットボトルをほおばりながら聞いてきた。


「俺のことは嫌いになったのかと思ってたんだけど」


「べつに。焚火の煙が見えて、来ただけだから」


そう、あんたが関わるとまた誰かが犠牲になるかもしれない。こいつにあの事件を悟られないようにしないと・・・。そう考え、黙って帰ろうとする。すると白鬼が呼び止める。


「すまん、一つ聞きたいことがある」


池菜はゆっくりと慎重にだがいつもどうりに振り向いた。


「・・・。お前何か隠してるだろ」


その言葉に少しビックリしたが、落ち着いて冷静に返す。


「あったとして、あなたみたいな子供に言う必要がある?」


焚火の前で座って暖まる白鬼を睨み、投げるように言い捨てた。ニヤと笑い「子供ねー・・・」と呟く。


「あら、何か間違いでも?」


「プッ―――――。いや、別に」


笑いを堪えながらそう答える。何を笑われいるかは分からなかったが笑われて頭に来たが、相手にするのも無駄だと思い去ろうとする。するとまたしても白鬼に呼び止められた。


「なに!?まだ、ようがあるの?」


「そんな怒鳴るなって。世間知らずのこの子供に、少しご教授していただきたい」


そう言って池菜と向かってるのとは反対の草むらを指差す。


「あそこの草に隠れている、()()()は何だ?」


そう言って指をさした場所を遠目から見ても分からない。池菜は面倒で「知らないわよ」と言ったが白鬼の「お前が子供って言ったんじゃ~」という煽りにまんまと引っ掛かり覗きに行く。


ムカついていた池菜は力強く草をどかして覗く。するとそこには斬られた止まれの標識があった。驚きさらに先を見てみる、するとそこらいったいに斬られた標識やカーブミラーがあった。


「!?、何これ!!?、どうしてこんな場所に!?」


斬り口を見るとさっき触って確認した斬りと一致しそうなのがあった。


間違いないこれは斬られた標識やカーブミラーだ。・・・何でこんな場所に?人の手でやったならもっとそう、隠して見つからない川の底に沈めてしまえだいいのに。


「どうだー、珍しいか~??」


「ヘェ!!べ、別に。珍しくないわよ。川の近くにあるごく普通の物よ」


急に声をかけられて声が裏返ってしまった。・・・恥ずかしい。


「何だ、つまんないの」


そお声を出す、と座っていた橋の下でうつぶせになる。


「じあ私、学校があるから。これで失礼するけど、他に何かある?」


寝ている白鬼の頭の上に立ち見下ろしなが言う。そしてあっさりした感じに池菜は去ろうとする。


それを「ちょと待て」と呼び止める。


「あの人間はお前を食おうとしていた」


なに、だから感謝しろって?あの人間?


誰か何となく分かっていたが、私は分かりたくなかった。この行き場のない怒りと解せない思い。それをぶつけたかった、それだけなのかもしれない。


「あの人間って誰のことよ。」


「はぁ?だから。あの人間――」


「やめて!!!」


彼の話しをさえぎって止める。それに驚いた白鬼の話が止まる。


自分でも驚きだった。自分は昔から正義感が強いと言はれていた普段ならどうすればいいのか決まっているのに今回ばかりは違う、やり場のなくした怒りそんは不慣れな感情に振り回される歯がゆいは初めてだった。なにも考えないでいた訳じゃないあの後私はずっと考えた、家に帰りベットで横になりながらもからも、疲れているはずなのに眠れないほど考えた、でも答えは出なかった。彼の言った冷血な言葉が

脳裏によぎるからだ、別に正しいと思った訳ではない。でも・・・間違い・・でわ、ない・・・と・・感じた。だからこそ余計に頭にくる。


「・・・この前の事どう思っているの。」


白鬼は黙って確りと池菜の顔を見てから口を開く。


「・・・たかが、ひと一人がいなくなっただけだろ」


さほどその返答には驚きはしなかった、何となく今の言った言い方か近しい言い方をすると思っていた。そもそも、期待などしていなかった。私は世界を平和にしたいとか大それた夢を絵がくほど少女でもないし、誰かが殺されるのを見過ごすほど冷たくない。


会話は途切れ静寂が訪れる、池菜は頭を冷やし冷静になる。


そう言えばカイを土手道に置いて来たんだった、それと学校もあるんだ。帰らなきゃ・・・。


黙って静寂の中を去る。


「お前の連れてきた犬は、あの時の犬か・・・」


なんだ気がついていたんだカイのこと。まあ、でもこいつには関係ない。


「元気か?」


その質問に池菜は無言の返答をする。


「…そうか、よかった」


その言葉が耳に入ったかは分からないが、さりぎわの白鬼の顔が。


なんで・・・。あなたが、そんな顔ができるのよ・・・。


柔らかく温かい笑みの表情で、池菜は形容しがたい気持ちになった。


今日もいつもどうり学校がある。カイの散歩を終わらせて家に置き学校に来た池菜は自分の席に座って、一人窓の外を眺めて先ほどの事を思い出していた。


「どうして・・・」


そうして考えていたら背中に急に衝撃がきた。


「うっ!?」


「どうした、迷える少女よ」


衝撃で少し机の上に前のめりになる。そうして後ろを振り返ると、親友の吉が立っていた。


「いったぁ~、何すんのよ!」


「ごめんごめん、悩んでる顔してたからさ」


私の顔まだ見てないでしょ、と言いそうになったが。彼女には私の後ろ姿だけで分かってしまったらしい。


「そんなんじゃ眉間にシワできるよ。相談にならのるよ?」


「ん~、大丈夫かな」


言葉を詰まらせながらも苦笑いでごまかした。


「・・・ふん~。まあ、言いたくなったら言ってね」


どうやら私がごまかしているのもばれているらしい。それでも無理して聞いてこないでくれるのが本当にありがたい、ほんと私にはもったいない友達だ。


吉が自分の席についてから、しばらくしてからチァイムが鳴る。する前から先生が入ってきたそしていつもと同じ和やかホームルームが始まる。


窓の外を眺めると晩春を感じるさせる少し強くなった暖かい日差しが当たってそれが心地よくて、そして窓から入り初夏の訪れを感じさせる風が柔らかく優しく体に吹き付ける、たなびくカーテンや校庭の草木が揺れる音に気が付いてより風を明確に感じられる、晴れている空と先生の声がなぜか落ち着く。


私はこんな平穏な日常おくるのだとどこか安堵していた。そお、忘れていたのだ。物事は良くも悪くも突然起こるということを。


強い風が吹きカーテンが大きく翻る。次の瞬間「ぱり―!!」と何かが割れる音が教室に響きわたる、教室に光が差し込んでいた窓ガラスが一瞬で割れたのだ。瞬間的な事で窓の横の席に座っていた私と同じ列に座っていた人その隣の吉が座っていた列の人は、強い風とガラスの破片を反射的に腕で顔辺りを防いだが、驚き椅子や机と一緒に倒れる生徒もいた。


池菜は反射的に腕で防いだが、割れたガラスも破片が大きく腕を切ってしまい。体からいきよいよく床に叩きつけられた。


「いっ!?!」


防いだ左腕切って、右に倒れ込んだ。右肩を強く撃ったらしく倒れて起き上がれない、左腕の傷は深く我慢はできない程ではなかったが、目を閉じて堪えているとうっすらと唸り声がする。少し目開けて見てみると、前の席に座っていた人がうずくまって唸っている、傷口を押さえながらゆっくりと体を起こして覗いて見る。するとガラスの破片が腕の骨(尺骨(しゃっこつ)橈骨(とうこつ)の間)を貫通していた、傷の大きさは6~8㎝の大きさで少なくとも1cmは貫通していて血液がポタポタとたれている。血溜まりはリンゴほどの大きさだった。


驚いて声が出なかった、何が起きたか把握できていない生徒がざわめきだし軽いパニック状態になりかけていた。


その空気を換えたのは先生一言だった。


「窓から離れろ-!!」


大怪我をした生徒に駆け寄り声をかける。


「おい、大丈夫か!?」


必死に声をかけるが痛みのせいか悶えていて答えられていない、怪我のぐわいを確認してから振り返り怯えている廊下側の生徒に急いで聞く。


「何か縛る物はあるか!?」


「出てすぐの家庭科室に何かあるかもしれません」


「そうか・・・、分かった。他に重傷な者は!?」


教室にいる不安そうな生徒たちの顔を一通り見て「よし」と言い立ち上がる。


「助けを呼んでくる。全員なるべく動くな、ただしヤバイと思ったらすぐさま逃げろ」


そお言って出て行った、廊下を走る足音が聞こえる。


ああ、ダメだ。あの子、あんなにも血が・・・。助けなきゃ・・・!


少しふらつきを感じ、はっきりとしない視界を手掛かりに必死に手を伸ばす。


「大丈夫!?池菜!?」


吉が駆け寄って来てフラフラな私の体を支えてくれる。


「あの子を、助けなきゃ・・・!!」


「大丈夫。先生が助けを呼びにいったから」


「助けを呼びにいって間にあの子が・・・」


「落ち着いて!?」


私の肩を強く掴んで訴える、その力の強さ言い方が彼女の不安を直に伝える。


「あんただって怪我してるじゃない!!」


「え・・・?」


そお言われて吉を見ると、心配で泣きそうな表情を浮かべていた。


「・・・!!」


ああ、友達になんて顔させてるんだ、私。冷静にならないと、これ以上心配させないように。


自然に握りこぶしに力がはいり、彼女の顔を確かめる。彼女は泣きそうな表情を浮かべて池菜の眼をしっかりとみつめていた。


不思議だった。友達が泣きそうになっているのに、その顔を守らないといけないと思ってしまったのだ。


するとまたしてカーテンが大きく翻っているのにきがつく。


また、来る・・・!!


「伏せて!!!」


そう叫びながら、吉に覆いかぶさりながら倒れ込む。池菜の頭上を風ではない何かが通り過ぎた。


それは目にも止まらない速さで教室の机や椅子を吹き飛ばしてそのまま扉を壊して廊下を過ぎ窓を割って消えていった。


これってもしかして・・・。


突然、吉を突き飛ばした池菜は後ろの壁にピッタリと背中をつけてる。


「池菜?!」


これで私の考えが正しければ・・・!


すると中庭側からまた何かが来る、が今度は通り過ぎる高さが池菜頭部の高さで頬をかすった。


「っ!!」


頬にはかすり傷ができていてその威力が分かる、これが首辺りに当たりでもしていたら何て考えたくもなかった。


間違いない今ので確信した、なぜだか私を狙ってるらしい。


ふと周りに目をやると、散々な光景に気がつく。


「ねぇ、しっかりして」「起きれるか」


悲鳴と心配の声、駆け寄る人と倒れている人、声をかけるひと、かけられる人、血を流している人手当てをする人。


教室のざわつきと緊張感、命を狙われた事実が池菜の焦りを煽り罪悪感が使命感を生んでいた。


私が、私が何とかしなきゃ・・・。


その光景に冷静さをかいて頭の中が真っ白になり、判断を濁らせる。


執る行動は一つしかなかった、これ以上被害を出さないようにこの場を離れること。手汗を隠すように強く握り急いで廊下に向かう。


「待って!!どこに行くの!?」


吉の心配は耳には届いていなかった。先生の言葉を忘れて、ただひたすらに走っていた。


冷たく静な廊下に上履きの足裏のゴムから硬い足音が響く。自分が急いで走っているの感じて、耳から聞こえる足音がまだかまだかと視界を奥に引っ張る、うるさくなる心臓と息遣いは焦りか単に走っているせいなのか、それとも未知なる者えの恐怖か、それすら判らなくなていた。


傷の痛みを体が忘れ階段を駆け下り手摺を使って周るように一階え下りる、一階の廊下を走り抜け下駄箱の前を通り過ぎ、上履きを履き替えず外に出る。


外に出て少し止まった瞬間。空から目にも止まらない速さで落ちて来た白鬼が、すぐ池菜を担ぎ上げそのままの行きよいで走り出す。そして高く跳び学校を囲んでいる塀を軽く飛び越え家の屋根に着地する。


「うゎ!ちょと!!なに?誰!?」


担ぎ上げられた体勢が頭が白鬼の後ろ尻が顔の横という体勢で、首に力をいれ後ろを確認する。やっと思いで見えたのは白いパーカーを着ていた白鬼背かだった。


「動くな、まだ追われてる」


「え?!、それって、もしい!?」


池菜が喋っている最中なのに走り出しす。


「した噛むぞ」


そう言いながら家々の屋根を跳んで渡って、気づいたら彼と初めて出会った川の土手についていた。


「うわ!!」


怪我して担がれていた池菜を労りもせず投げ、しりもちをついて痛かったが顔で改めて見上げて確認する。やはりそこには今朝と同じ服装で見下ろす白鬼のすがたった。


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